
2022年の悔しさを晴らすべく布陣を整え、藤本監督も気合十分
就任2年目となる2023年は、
藤本博史監督にとって雪辱のシーズンとなる。
工藤公康前監督からバトンを引き継いだ1年目は「一生忘れられない」という悔しさを味わった。
大混戦のパ・リーグを抜け出し、シーズン141試合目消化時点で優勝マジックは「1」。リーグVをすぐそこまで引き寄せていたが、引き分け以上でVが決まっていた残り2試合を、延長11回サヨナラ負けと逆転3ランを食らっての敗戦で落とした。同率ながら対戦成績で負け越していた
オリックスにVをさらわれ、野球人生で初めての涙を流した。
「その悔しさをぶつけるしかない。絶対に優勝するという強い気持ちを持ってやっていかないと」と、必ず優勝でその悔しさを晴らす覚悟だ。最終戦の歴史的V逸からのクライマックスシリーズ敗退後は、「地獄の秋」と掲げて秋季キャンプ地の宮崎入り。連日、野手は振り込み、投手は投げ込みに下半身強化と鍛え抜いた。「選手全員がその悔しさを持っている」。就任2年目はあえて「レギュラー白紙」を掲げることで厳しい競争を促し、よりチーム力を高めていく構えだ。
同じく強い悔しさを味わった孫正義オーナーを筆頭に、オフは球団からも全面的なバックアップを受けた。
日本ハムから
近藤健介、
DeNAから
嶺井博希と9年ぶりにFAでの「ダブル補強」に成功。エースの
千賀滉大がメジャー移籍で抜ける痛手こそあるが、新外国人の獲得にも積極的に動いている。高校時代に甲子園で負けても泣かなかったという指揮官。初めて流した悔し涙を、23年秋には必ずうれし涙に変える。
写真=佐藤真一