あの夏の投球は圧巻だった。神奈川・桐光学園高2年時に出場した2012年夏の甲子園。1回戦の愛媛・今治西高戦で、観衆の度肝を抜くような投球を見せた。
直球とスライダーを軸に三振の山を築いた。終わってみれば1試合22奪三振の大会新記録を打ち立て、聖地を大いに沸かせた。
高校時代は先発として躍動。13年にドラフト1位で
楽天へ入団後は、主に守護神として活躍。今年4月5 日の
西武戦(楽天モバイル)では史上最年少となる27歳5カ月で200セーブに到達した。
先発から不動の守護神へ。高校時代と求められる役割は変わったが、ずっと大事にしている教えがある。
桐光学園高の野呂雅之監督には「社会に必要とされる、応援される人になってほしい」と言われたという。かつての恩師の教えも胸に刻み、プロ入り後も「必要とされる」選手になるべく、地道な努力を積み重ねてきた。史上最年少で200セーブという金字塔を打ち立てたことが、その証左だ。
今季は7月下旬に発熱などの体調不良で離脱した時期もあったが、安定感抜群の投球を見せてきた。8月19日の時点で、39試合に登板し1勝2敗27セーブ。防御率0.48。
石井一久監督は「彼はヒットを打たれても、四球を与えても、特殊能力の奪三振を持っている。三振が欲しいところで取れるピッチャー」と信頼を寄せる。
「チームの力になれたら」と語る左の守護神は、これからもたゆまぬ努力を続け、チームの勝利に貢献していく。
写真=BBM