個性あふれる人間性も、高梨雄平の大きな魅力だ。野球を理論的に研究し、オフには自身のSNSで腕前を披露するほどの料理好き。あらゆる場面で知性を感じさせる。
初めて推定年俸1億円の大台(1億1000万円)に到達して迎えた今季へ、「仕事に対する対価が上がっている。ケガしたときとかにクビになる恐怖が近づいてきている」と独特な表現で気を引き締め、「100試合登板」の目標をぶち上げていた。
高い頂を見据え、今季もブルペンの先頭に立ってきた。8月までにチーム最多の51試合に登板し、チームが守護神・
大勢の離脱に揺れた6、7月には16試合連続無失点を記録。“左キラー”としてだけでなく、ときには回またぎでもマウンドに上がった。
「いつでも、どんな場面でも、求められれば行くだけ」。2020年途中に
楽天からトレードで加入し、21年からは3年連続で50試合以上に登板する31歳の左腕に、
原辰徳監督も「高梨は大事な投手。非常にいい役割を果たしてくれている」と信頼を置いていた。
ただ、シーズン終盤を迎え、やはり疲れは出てきたか。8月29日の
広島戦(京セラドーム)では、4対2の8回に登板したものの、2四球でピンチを招き、代打・
末包昇大に痛恨の逆転3ランを被弾。9月2日の
DeNA戦(横浜)でも失点し、防御率は4点台に悪化してしまった。
9月8日には登録抹消となってしまったが、楽天時代の18年には70試合に登板した鉄腕は、クライマックスシリーズ進出争いが過熱する9月下旬の最終盤にこそ、鉄腕の真価が問われる。
写真=BBM