ルーキーイヤーの一軍出場はゼロ。立浪監督に「ドラ5入団」の濱将乃介の名前を刻んだのは10月中旬。ナゴヤ球場での秋季練習だった。
シート打撃で育成左腕・
野中天翔から放った打球が、右翼の防球ネットの最上部に直撃。181センチ、81キロ。どでかい放物線を描いた。「体が開かないこととタイミングを意識しています」。強烈なインパクトを残した。
売りは身体能力の高さ。ファームでは二遊間に加えて三塁、外野も守った。シート打撃を見守った立浪監督は外野転向を即断。「外野をやらせます」。ノックに入ると、外野からの本塁打送球のボールの速さは
岡林勇希と同等か、それ以上。遠投125メートル、最速152キロと肩の強さを見せた。
かつてのチームメートを追い掛ける。中学の硬式野球チーム「枚方ボーイズ」でチームメートだったのは
ロッテ・
藤原恭大と
広島・
小園海斗。藤原は大阪桐蔭高で、小園は報徳学園高で甲子園を沸かせた。
濱は東海大甲府高へ進学し、甲子園とは縁がなかった。「ずっと悔しい思いをしてきました」。負けん気が原動力となる。
肩の強さ、足の速さを天から授かった。ウエスタン・リーグでは打率.205。打撃に磨きをかければ、チャンスをモノにできる。
外野は
細川成也、岡林は固定される見込み。そこに今季チーム打率トップだったベテラン
大島洋平や
鵜飼航丞、
ブライト健太が控える。濱の飛距離、肩の強さ、足の速さが生きたとき、一軍定着は近づく。竜の外野争いを騒がしくするのは、濱しかいない。
写真=BBM