
駒大の4年生右腕・上野[左]は拓大との入れ替え戦2回戦で1安打完封。試合後のホッとした表情が印象的だった/写真=川口洋邦
二部優勝・拓大は手痛いミスを重ね連敗
緊迫した試合では、やはり、ミスをしたほうが負ける。
今秋の東都一部二部入れ替え戦(11月9日、10日)は、一部6位の駒大が二部優勝の拓大に連勝し、一部の座を死守した。
駒大は今春に6位となり、専大との一部二部入れ替え戦を2勝1敗で残留したが、今秋も4勝9敗、勝ち点1で6位となり、2季連続で入れ替え戦へ回った。4試合で1点差負け。攻撃では送りバントの失敗などミスで点が取れず、守備ではムダな四球や失策で失点して競り負けた。拓大戦までの15日間、リーグ戦中に出た課題を一つずつ、つぶしてきた。
一方の拓大は、今春「二部優勝、一部昇格」を目標に掲げたが、7勝6敗、勝ち点2の4位。「目の前の一戦一戦を大切に戦おう」と、足元を見つめ直した今秋は8勝5敗、勝ち点4と粘り強い戦いで二部を制した。2015年春以来の一部復帰へ向けて、駒大戦までの9日間で、単打でつなぐ意識を持って打撃練習を重ねてきた。
迎えた1回戦。駒大は1点を追う3回、安打と2失策で一死二、三塁とする。続く
若林楽人(3年・駒大苫小牧高)の打席時に暴投で追いつくと、若林の右前打で勝ち越した。8回には二死二塁から平野英丸(4年・静岡高)の打席時に捕逸で三塁へ走者を進めると、平野の右前打で加点。3対1で勝利した。
2回戦。駒大は4回に先頭の平野が左中間への二塁打で出塁。菅力也(4年・崇徳高)の投前への犠打が失策を誘って一、三塁とすると、
新田旬希(2年・呉高)の二ゴロの間に1点を先制。5回には二死一、二塁から平野が左前打を放ち、貴重な追加点を挙げた。投げては上野翔太郎(4年・中京大中京高)が2年春(当時は二部)以来となる先発でわずか1安打に抑え、2対0のシャットアウト。大学ラスト登板を初完封で飾った。
「仕切り直し」を宣言
上野は高校3年夏の甲子園で活躍。侍ジャパン高校代表に選ばれ、U-18W杯では最速144キロの直球を武器に3試合(計18回)で自責点0と好投して注目された。だが、その後は右肩を痛めた影響もあり、投球の感覚を取り戻せずに苦しんできた。今秋のリーグ戦では直球に威力が戻り、最速も149キロに更新。救援としてリーグ戦初勝利を含む2勝を挙げていた。学生生活最後の一戦で後輩に最高の置き土産。上野は「やっと4年生らしいことができた」と安堵した。
2季連続して一部二部入れ替え戦で一部に踏みとどまった駒大のベンチ裏には「ナイスゲーム!」「翔太郎、ナイスピッチング!」という声と、大きな拍手が響いた。駒大・大倉孝一監督は「入れ替え戦ではミスらしいミスはなかったけど、もっと、きめ細かいところを詰めないといけない。なんとか粘れたので、仕切り直したい」と、来春を見据えた。
連敗を喫した拓大は打線が2試合で1点しか奪えず、守りのミスで失点を重ねた。
内田俊雄監督は「力の差は歴然としていた。いい経験にして、一部に定着できる力を積み重ねてくれればいい」と話した。「天国と地獄を分ける」と言われる東都の一部二部入れ替え戦。勝者と敗者のどちらにとっても、この修羅場を経験したことが財産となる。(取材・文=佐伯要)