
四国大会を控え、県順位を決める高知のチャレンジマッチ。明徳義塾高が高知高との一戦で延長13回を制した。高知高・森木は7回途中から救援[写真=梅原沙織]
プライドがぶつかり合う
最速152キロを誇り、圧倒的存在感を発揮する高知高・
森木大智。一方で130キロ台ながら、卓越した投球術とコントロールが武器の明徳義塾高・
代木大和。2人は高知でライバル関係にあり、今夏には甲子園の代表権を懸けた最終決戦が控えている。
歩んできた道は対照的だ。森木は中学3年で全国優勝、軟式で150キロを記録し「スーパー中学生」と呼ばれた。一方、代木は高校入学時には腹筋も満足に行うことができなかったほどで、課題は山積みだった。
しかし、高校で先に甲子園の土を踏んだのは代木だった。昨年3月のセンバツ中止を経て、出場32校が招待された8月の甲子園交流試合(対鳥取城北高)では救援勝利。今春のセンバツでは仙台育英高との初戦で敗退も、8回1失点と持ち味を発揮した。馬淵史郎監督からの「パワーで負けていても、野球で、技術で負けるな」という薫陶を受けながら、勝負球のカットボール習得と制球重視のスタイルを確立している。
対する森木は1年秋に右ヒジを痛めるなど、本来のポテンシャルを発揮できずにいる。今年2月の練習中には左足首を痛めた。3月の春のセンバツでは代木と、全中の決勝で対戦した仙台育英高・
伊藤樹が投げ合う姿を見ながら「悔しさ半分、自分もやらないといけない、が半分」と感じた。パワーに頼っていた部分を見つめ直し、1月末の旧3年生の引退試合で「打たせるつもりで投げた球」で151キロを連発。春の県大会決勝(対高知中央高)で自己最速を更新する152キロを計測し、理想とする「分かっていても打てないストレート」の完成に近づいている。

明徳義塾高・代木は12回に代打も申告敬遠で一塁に出塁している[写真=梅原沙織]
チャレンジマッチで明徳義塾高が県1位
2人が最も激しくぶつかりあったのは、昨秋の県大会決勝だ。延長12回、森木が170球、代木が193球。一歩も譲らぬ投げ合いは、日没
コールドゲームで再試合となった。舞台となった春野球場に照明設備が備わっていれば、どこまで投げていたか分からない。そう感じさせる気迫を両者とも見せていた。中1日で行われた再試合。森木は志願したというが、高知高・濱口佳久監督の「いろいろな選手の経験が次につながる」という方針で、登板回避。明徳義塾高・馬淵監督はトレーナーによる診断も経て、問題なしと判断。代木も「試合中に疲れを感じることはなかった」と再試合も106球で完封した。
迎えた春。四国大会への順位決定戦となるチャレンジマッチで、森木は7回途中から救援。タイブレークに突入した延長13回に犠飛で決勝点を奪われた(1対2)。6回1/3で5安打4三振1失点の投球に「バランスは良かったと思うが、ボールが高く甘かった」と反省し「チームとして、組織力の強さを感じた」とライバルチームとの差を語った。代木は12回に代打で登場も、申告敬遠。投球練習を行うこともなく、馬淵監督は2年生左腕・西村優聖歩を先発起用。四番には1年生・
寺地隆成を起用するなど、この一戦を「チャレンジ」と表現。代木を温存し、新戦力育成を優先させている。
両校は四国大会(4月24日開幕)で対戦する可能性もあるが、最終決着は夏だ。2人は互いに認め合いながら、個人として、何よりもチームとして絶対に負けたくない相手。1枚しかない甲子園切符をめぐる、高知のエースライバル物語から目が離せない。