一死二、三塁で、カウントは1ボール1ストライクです。俊足の三塁走者は大きなリードを取り、ホームスチールする構えです。一方、二塁走者はベースから動く気配はありません。次の投球と同時に三塁走者はスタートを切りましたが、ストライクゾーンで投球に当たりました。そのときになっても二塁走者はベース上にいるままです。2人の走者はどうなりますか。

　本盗を試みた三塁走者の得点は認められます。また、進塁の意思を見せていなくても、二塁走者には三塁進塁が認められます。

　ホームスチールを試みた三塁走者がストライクの投球に触れても、アウトにはなりません。ただ、この投球に対して球審は「ストライク」を宣告します。そして、二塁ベース上に立ったままの走者には三塁への進塁を認めます。野球規則5.09(h)にはこうあります。

「正規の投球が、得点しようとしている走者に触れた場合――各走者は進む」

　ただし、投球が得点しようとする走者に当たった場合、いつでも各走者が進塁できるわけではありません。規則6.05(n)にはこう記されています。「

2アウト、2ストライク後本盗を企てた三塁走者が、打者への正規の投球にストライクゾーンで触れた場合。この際、打者は“第3ストライク”の宣告を受けてアウトになり、その走者の得点は認められない。しかし0アウトまたは1アウトであれば、打者は“第3ストライク”の宣告を受けてアウトとなり、ボールデッドになるが、その得点は認められる」

　さらに同規則の[注]として、「0アウトまたは1アウトの場合には、他の塁の走者にも、次塁への走塁行為があったかどうかに関係なく、1個の進塁が許される」とあります。5.09(h)に記されていることと同じことが述べられているのです。