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伊原春樹コラム

体全体に感じる素晴らしいバネ。“しなやかさ”を有した夏の甲子園優勝投手はまさに高校球界No.1!

 

 QVCマリンには2万人以上の観衆が詰めかけたという。ネット裏にもプロのスカウトがズラリと並ぶ。この注目度の高さは、能力の高い選手が一堂に会しているからだろう。8月27日、第11回U-18(18歳以下)アジア選手権に出場する高校日本代表が大学日本代表と壮行試合を行った。

 高校日本代表は今夏甲子園を沸かせた投手が主にマウンドに上がった。先発の早川隆久(木更津総合高)は初回にいきなり5点を失ったが、それ以降に登板した藤平尚真(横浜高)、寺島成輝(履正社高)、島孝明(東海大市原望洋高)、高橋昂也(花咲徳栄高)、堀瑞輝(広島新庄高)、今井達也(作新学院高)は大学生相手にゼロに封じ込める見事なピッチングを披露した。

 高校BIG3(藤平、寺島、高橋)をはじめとして、どの投手も魅力的だった。だが、私がもしプロのスカウトだったらNo.1に挙げたいのは最後に投げた今井である。今年の夏の甲子園を制した作新学院高のエースである今井。スカウトの間でも評価は急上昇していて「BIG4」と称されるようになったという。聖地では全5試合に登板し、41イニングで44奪三振、防御率1.10と相手をねじ伏せるピッチングが光った。壮行試合でも8回から救援登板して2イニングを1安打無失点、さらに4者連続を含む5三振を奪ったピッチングは“圧巻”の一語に尽きる。

大学生相手にも圧巻の投球を見せた今井/写真=高塩隆


 初球から150キロ台を連発するなど、短いイニングだということもあっただろうが、いきなりフルスロットル。ストレートだけではない。カットボール、スライダー、カーブといった変化球のキレ味も抜群。投球フォームも力任せではなく、非常に安定しているのでボールにバラつきが少ない点も素晴らしい。

 それに、何よりも高校BIG3らと比較して優れているのは体のしなやかさだ。180センチ72キロと体は細身だが、全体的に非常にバネが感じられる。私がこれまで見てきた投手でいえば、例えば郭泰源西口文也(いずれも元西武)、さらには岸孝之(西武)に似た感じと言えるのではないかと思う。

 腕の振りもしなやかだからスピンの利いた、伸びのあるボールをキャッチャーミットに投げ込むことができる。大学日本代表も今秋のドラフト候補が登板していたが、彼らと比べてもそん色ないボールだった。

 プロでは野手よりも投手のほうが、早く一軍デビューする可能性が高い。今井がどのような進路を選択するか分からないが、大学などを経由せずに、すぐにプロの世界に飛び込んだほうがいいと思う。早く、そのピッチングを大舞台で見てみたい。

PROFILE
いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

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座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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