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「すい星のごとく」という表現が当てはまるだろう。プロ2年目のオリックス・佐藤達也は、持ち前の伸びのある速球を認められ、セットアッパーに抜てきされると、その実力をいかんなく発揮。クローザー・平野佳寿とともにオリックスの勝利の方程式となった。そして1年間ひたすらに投げ抜きベスト・リリーバーの称号を得た。

取材・構成=椎屋博幸 写真=桜井ひとし、BBM

※このページの最後に佐藤選手の直筆サイン入り色紙応募についてお知らせがございます

結果は満足も内容に不満が残る

――もう何度も「おめでとうございます」と言われたとは思います。

佐藤 はい、もういろいろな方に50回以上は言っていただきました(笑)。でも、何度言っていただいてもうれしいです。本当に今年の登板数は自分でもびっくりです。

――オフは春季キャンプまでトレーニングもしながら、疲れも取る時期ですよね。

佐藤 疲れは抜けないですよね。僕はまだまだ上を目指さないとダメなので、練習もしながらその方法を探していっています。

――シーズンが終わったときにどの部分に一番疲労がきましたか?

佐藤 肩、ヒジ、関節の右半身すべてにきていました。軸になる方の体です。シーズンの最後の方は気力のみでした。まあ、春のキャンプインまでにはその疲れをなくしたいな、とは思っています。

――ただ本当にシーズン終盤は良い結果が多かったと思いますが……。

佐藤 そうですか? 自分では感じていませんでした。オールスター前後が一番きつい状況ではありました。今年は開幕から目いっぱい投げていましたので、心のどこかで「オールスター休みで一度体を休ませられるかなあ」と思っていたんです。そうしたらオールスターに自分が出場することになって……(笑)。

─―オールスターに選出されるくらい活躍をしたシーズンでもあったわけです。

佐藤 結果的にはすごく良かったシーズンですが、内容が伴わなかったと思っているんです。

――では、理想の抑え方ができない場面が多かったということ?

佐藤 一人につき3、4球で終わらせ3者凡退でベンチに帰ることがやはり僕の中では理想です。ひどいときは1イニング30球ぐらい投げるときがありましたから(苦笑)。

――一方で、コントロールを求められる投手ではないですよね。

佐藤 球速が出て勢いがあるからこそ、コントロールが良ければ、変化球さえ良ければ、しっかり抑えられるということがあるので、目指さなければいけない部分だと思っているんです。



――来年も今年と同じ内容だと通用しないと思っていたりするのでしょうか。

佐藤 今年と同じ投球内容が、来年にも通用するかどうかは、今は分かりません。もし通用しなかった場合に、ほかのパターンもできるようにしたいと思っているんです。

――やることがたくさんあるんですね。

佐藤 頭も体も秋季キャンプでやるべきことの方が多かったですね。元々いろいろなことをやっていたいタイプなので、そこは苦にはならないんです。僕の中では今シーズンは、たまたま結果が出ただけだ、としか思っていないですから。

――では理想の投球は今年何試合ぐらいあったのでしょうか。

佐藤 1試合ぐらいだと思います。だから常に「僕でいいの?」と思っているんです。僕より素晴らしい投手の方々はたくさんいるので。今の僕のピッチングの精度ではまだまだ下のレベルだと思っています。よく質問で「真っすぐで抑える秘訣は?」と聞かれるんですが、特にないんですよ(笑)。そこは自分の速球を打席で見たことがないので、自分のことは分からない。むしろいろいろな人に聞きたいんですけどね。

納得できるボールの確率を上げていく

――その中で今季は、右打者はしっかりと抑えているのですが、左打者に4本塁打されています。

佐藤 左の4本のうち、2本は打たれるべくして打たれた2本でしたね。このときはあり得ないほど悪い投球でしたから。

――良い投球と悪い投球のばらつきは結構あったのでしょうか。

佐藤 結構ありました。今年はピッチングの約1割しか納得できる投球がなかったですね。10球投げて、ボールのかかり、コースなど納得のいくボールは1球ぐらいしかなかったですから。僕は、狙ったコースに納得のいくベストボールを投げ続けるのが中継ぎ投手だと思っているんです。でもそれが今できてないのが現実。完成度は低いですよね。

――そういうことを求めると「佐藤達也」ではなくなるような気がします。

佐藤 僕自身、80パーセントの力でコントロールすることを思い描いていなくて、100パーセントの力で投げてコントロールできることを目指しているんです。欲を言えば120パーセントの力でコントロールできる技術をつけたい。だから基本は100の力で投げることが僕の中では大前提なんです。馬原(孝浩)さんなどは真っすぐのキレとコントロールが良いのはもちろん、しっかり左右の打者のインコースに投げ切れるんです。それにカットボールがすごい。平野(佳寿)さんは、あの剛球がコースの両サイドにしっかりコントロールされ、いつでも空振りを取れるフォークを持っています。一番難しいのですが、そういうのが僕も欲しいですね。あと金子さんは勝負どころが分かっていてそこで必ず三振を取りますよね。

――勝負どころが分かる投手でいたい。

佐藤 実は中継ぎというポジションは、全球勝負どころだと思うんです。それをどう投げるか、を常に考えています。自分の理想は、できるだけバットを振らせない状況を作りたい。バットを振らせずにストライクを取れば、何の出来事も起こらないじゃないですか。

――それは3球三振の場合全部ですか?

佐藤 それは金子さんが求めることで、僕の求めるのはツーストライク後からです(笑)。一方で僕が登板しなければいけない場面では必ずバッターは振ってくる状況なんですよ。だからバットにいかに当てさせないようにするかも考えています。ファウルも空振りの延長線上ですから、ファウルをされると空振りを取れないボールだと思ってしまう。だから理想は全部空振りです。

でもやはり、難しいポジションですから、必死に投げていました。点差がない試合の方が燃えていた自分がいるのは事実でした。大差の状況でマウンドに上がり、点を取られるケースが多かったのは、自分では気を緩めているつもりはないのですが、無意識のうちにそういう状態になっていたのかな、と反省はしています。




▲「最後は光にサインは任せていました」という佐藤。投げるときに一気にテンションを上げ、マウンドを降りるとリラックスしながら40ホールドを記録した



投手層が厚い中でもう一度取りにいく

――その中で来年に向けて球種を増やすなどという構想はありますか。

佐藤 今は試合では4種類、スライダー、フォーク、ツーシームシンカー、チェンジアップを投げているのですが、その球種の精度をさらに上げていくことが一番です。

――ツーシームシンカーは対左打者用ですよね。

佐藤 左打者には逃げていくボールなのでそうです。一方で右打者のヒザ元にも投げたいとは思っているんです。

――ツーシームシンカーを左打者のフロントドアで使うことは考えていますか。

佐藤 理想です。そうはうまくはいかないですから(笑)。それと一方で僕の最大の課題はフォークなので。フォークの精度が上がれば一番空振りが取れる球種だと思いますから、まずはそこの精度を一番に考えています。

――まだまだ成長していかないといけないのですね。

佐藤 そうです。もう20歳後半なので今のうちにたくさん成長しないといけないので、やることはたくさんありますね。疲れているどころではないですよ。



――来年以降もこの数字を続けていかなければいけない立場だと思います。

佐藤 最近、冗談でコーチ陣に、来年は先発でお願いしますって言うと「お前だけは、ありえない」と言われました(笑)。実は僕も中継ぎは天職だと思っているんですよ。毎日投げている方が僕にとっては良いのかなと思えるので。

――あとはケガをしないように……。

佐藤 ケガをしたら元も子もないし、勝負にはならないですから。体は強い方ではあるんですけどね。さらに馬原さんがシーズン最後に帰ってこられたので、ライバルがチーム内に多過ぎて来年の目標を挙げている場合ではないですよ。今季途中に甲藤(啓介)さん、オフに榊原(諒=育成)さんも加入されましたので、もう一度今年のポジションを奪いにいく意気込みで来年を迎えたいと思っています。もちろん、今年やったぞ、という自信はあるんです。でもそれ以上に中継ぎ陣の層が厚いので、気持ちを入れてやっていきます。



オリックス担当が選ぶがBEST SCENE!!
2013.05.08@京セラドーム



この日6連敗中のオリックスは、ドラフト1位の松葉貴大がプロ2度目の先発でマウンドに上がった。新人左腕は5回1/3を2失点。その後、7回にマウンドに上がった佐藤は、ソフトバンクの八番・�眞�をスライダーで三振、九番・本多を高めの速球で空振り三振、一番・長谷川も同じく高めのボールを振らせて、3者連続空振り三振を奪い、連敗ストップに貢献。セットアッパーとしての地位を確実なものにした
PROFILE
さとう・たつや●1986年7月26日生まれ。埼玉県出身。右投右打。178cm77kg。大宮武蔵野高から北海道東海大、Hondaを経て12年にドラフト3位でオリックスに入団。1年目は14試合登板にとどまったが、150キロの伸びのあるストレートを武器に首脳陣が目を付け今季はセットアッパーとして起用される。開幕から安定した投球で守護神・平野佳寿につなぐ貴重な存在として活躍。最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。
2013年成績
42HP/防御率1.73/登板数67/2勝4敗0S/40ホールド/打者313/78回/被安打46/被本塁打5/与四球41/与死球0/奪三振88/15失点/自責点15
PRESENT

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