負けない投手である。1年春から登板機会に恵まれると、19勝無敗。2年時には大学日本一を経験し、大舞台を踏んできた最速149キロ左腕だ。春季リーグ戦は消滅したが、最後の秋に全力を注いでいく。 取材・文=高橋昌江、写真=矢野寿明 
2年春、3年春、秋[写真]と3度の全国舞台を経験。マウンド度胸が抜群である
「去年の借りを、返しにいきたかった」
山野太一は雪辱に燃えていた。昨秋の明治神宮大会。東海大との1回戦に先発するも、2回4失点で降板。8対9のサヨナラ負けに「自分の力不足で負けた」と責任を感じていた。以降のオフシーズンでは「先輩に申し訳ない。春に結果で恩返しをしたい」と練習に励んだ。最速149キロのストレートは球威を上げ、「思ったところにしっかり投げ切れている」と手応えがあった。まだ肌寒さが残る春先にもかかわらず、147キロをマークするなど、ラストイヤーを心待ちにしていた。
「大学に入って一番、良い。今年は、いける」。確かな自信がみなぎっていた。ところが、新型コロナウイルスが暗い影を落とす。東北福祉大はキャンプに行けず、オープン戦もできなかった。同大学のグラウンドで練習や紅白戦を行いながら収束を待ったが、日に日に感染者は増加。4月上旬、東北福祉大の部員たちはそれぞれの実家へと帰省した。
6月に入っても山野は生まれ育った山口県にいた。「こんなに続くのか、と・・・
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