チームを活性化させる有望タレントに迫る連載インタビュー。第2弾はソフトバンクの右の大砲候補・真砂勇介の登場だ。13年の入団以来、一軍出場は果たせていないものの、スケールの大きさで期待感を抱かせている。 取材・構成=菊池仁志、写真=湯浅芳昭、BBM、Getty Images 
ソフトバンク・真砂勇介・外野手・5年目
一軍未出場の世界MVP
その名を一気に広めたのは、昨年10月末からメキシコ・モンテレイで行われた「第1回WBSC U23ワールドカップ」での大活躍。世界一に輝いた若き侍ジャパンで、9試合すべてで四番を務め、打率.387、4本塁打、14打点と存在感を示し、MVPを獲得した。特にスー
パーラウンド初戦の韓国戦では、0対1の7回に貴重な同点弾。チームのサヨナラ勝ちへとつなげた。同第2戦のパナマ戦に敗れただけに(2対3)、決勝進出に首の皮を一枚つないだ一発だった。
「海外の初めて対戦したピッチャーばかりの中で、何とか対応できたことは収穫と言っていいと思います。特に韓国戦のホームランは自信になりました。今までなら力が入ってガチガチになっていた場面で、冷静に一発で仕留めることができました。ただ、すべての打席が納得いくものであったかというと、そうではなかった。自分の中で迷いが出た打席もあったのは課題です(パナマ戦では4打数無安打)。

昨年のU23ワールドカップでは四番としてチームを牽引し、世界一に導いた
それから、注目されて取材をされる機会が増えているのはありがたいことなのですが、自分はまだ、一軍で何もしていない立場です。そこは自分におごらず、自分がやることを一日一日やるだけです。それはキャンプ中に限らず、オープン戦が始まっても、シーズンが始まっても、何も変わりません。一軍で出られるようにやるだけだと思っています」
京都の公立高校である西城陽高出身。高校時代は通算52本塁打を放ったが、府大会ベスト8が所属時の最高成績で、全国で名の知れた存在ではなかった。それでも身体能力の高さを評価され、2013年ドラフト4位でソフトバンクに入団。1年目は三軍を主戦場としながら二軍で8試合に出場。2年目以降、出場数を増やし、昨季は初めてウエスタン・リーグで規定打席に到達した。9月には2度、一軍に昇格。初出場はならなかったが、チームが優勝争いをする中での貴重な経験だ。U23の戦いを含め、それらがあったからこそ、見える世界が変わった。「開幕一軍」。高い目標を掲げて、このオフを過ごした。
「ギータさん(
柳田悠岐)に誘っていただいて、自主トレを一緒にやらせてもらいました。トレーニングもそうですし、食事管理もきっちりして、脂肪ではなく筋肉で体重アップすることを目標にやってきました。それが成果として表れてキャンプを迎えられたので、そこはよかったと思います」
2年間にわたり、真砂を直接指導した
藤本博史打撃コーチ(今季より一軍担当)は「アイツはギータタイプ」と笑う。185センチ80キロの恵まれた体を持ち、俊足、強肩で身体能力も高い。そして最大の魅力が長打力。柳田をスターダムに押し上げた藤本コーチだからこそできた、“右打ちの柳田”=「ミギータ」の命名。そこにもかけられた期待の大きさをうかがわせる。
「攻守走、そろっている選手というのは目標でもありますし、そこにどれだけ近づけるかを追求しながらやっていかないといけないとも思っています。自分でもタイプ的にはギータさんみたいになりたい。だから、オフにどういう生活を送っているのかとか、どういう練習方法で過ごしているのかとか、しっかり学ぶことができました。
練習への取り組み方はもちろんなんですけど、生活面でも食事制限とかをされながら野球のことを第一に過ごされていたので、そこにプロ意識を感じましたね。1年間、しっかり戦える体をつくっていかないといけないことは分かっていましたが、そこまでの取り組みをしていることが勉強になりました」
夕暮れ迫るグラウンドの一、三塁側に分かれて行われる
ロングティーはソフトバンクキャンプの風物詩。今年はそこに真砂の姿があることが恒例化している。
「初めてキャンプがA組スタートになりましたけど、本当はもう少し早く、一軍で戦えるような実力をつけていたら、もっと早くそういうスタートが切れていたと思うんです。そこは僕の実力不足。5年目でやっとA組スタートができたので、まず一軍で出るだけじゃなくて、一軍に定着できるようにやっていくだけです。大卒であれば、今年が1年目のシーズンです。そこと比較されて、負けているようではプロ野球選手としてのこの先がないわけですし、そこに負けないことをやってきた自信はあります。
まずは守備、走塁からアピールしていって、バッティングはまだまだなんで、そこを上げていけるように取り組んでいきたいと思います。バッティングでの一番の課題は確実性。とらえられる球をとらえられていなかったり、打ち損じが多いので。やはり練習しかないですよね。振り込んで確率を上げていく、それしか方法はないんじゃないかと思います。キャンプでも毎日、コーチも付き合ってくださいますので、自分が良い方向に進めるようにやっていきたいと思っています」
オープン戦ながら一軍で安打を放ったことがある。入団3年目の15年3月4日の
阪神戦[甲子園]、3回に代走で出場すると7回の打席で
安藤優也から左中間を破る適時二塁打を放った。昨年も安打は出なかったが、4試合に出場。しかし、その後に二軍落ちしてシーズンの開幕を迎えた。
「去年、おととしのオープン戦に出られたのは、僕の中では実力で呼んでもらったものではありません。やはり、実力で呼んでもらわないことには先はないのは当然です。今年は自分がどれだけレベルアップして、この先のオープン戦、シーズンに臨めるかが大事なところだと思います」