
5勝、防御率1.69はいずれもリーグトップ[8月2日現在]
変更の真意は?
巨人・
菅野智之選手が、開幕からまさに“エース”のピッチングを続けています。
6試合に投げ、5勝0敗。残り1試合もチームは勝利しています。内容的にも、すでに2完封を飾り、全試合100球以上を投げています。序盤は今回の変則日程もあり、さすがの菅野選手も調整が難しかったのでしょう。ややムラもありましたが、徐々に安定してきました。打線とのかみ合わせもよく、今季は120試合制ではありますが、かなりの勝ち星を挙げそうです。
開幕前、話題となったのは、上体だけをセカンド側にひねってからのフォームです。
今回のフォーム変更について、本人と話したことはないので本当のところは分かりませんが、あるとしたら体の開きが早いという意識からでしょうか。少しでも遅らせたいと思ったのかもしれません。
もしそうだとしたらですが、これは意外と難しい面があります。体のメカニズムとして、打者であれば、開きを気にして体を捕手側に回してしまう選手がいますが、こうなると始動が遅れがちになり、逆に体を早く開いて“間に合わせよう”という動きになりがちです。私は投手のことは専門ではありませんが、セットポジションでセカンド寄りにグラブを置くタイプは開きが早くなりがちのように感じます。
もちろん、菅野選手ほどの選手なら百も承知でしょう。私が心配するまでもないと思います。
あくまで微調整
ただ、そもそもの話ですが、菅野選手の力は、間違いなく、球界NO.1です。
打者目線でいけば、体を開かぬまま真っすぐ体重移動をして向かってきて、打者でいえば割れになるのでしょうか、いわゆるゼロポジションをつくって最後の最後で腕を振る。身長もありますので、打者はかなり近くから投げられたように感じているはずです。
しかも、このようなフォームは、球の遅い選手が工夫して編み出すケースも多いのですが、菅野投手は150キロの真っすぐと一流のスライダーがあります。私からすれば「無理をしてフォームを変えなくても」と思ってしまいますが、これもさらなる上のレベルを目指してだと思います。あと、前年は故障もあったので、体に楽なフォームも頭にあったのかもしれないですね。特に菅野投手は、常に完投を求められる投手でもありますから。
いずれにせよ、私は打者がグリップの位置を変えるような感覚的なものではないか、と思って見ています。
PROFILE 立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年
中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブ賞に。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブ賞に輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。