11月2日から京セラドームで開幕した第43回社会人野球日本選手権大会。週刊ベースボールONLINEでは、日本選手権大会にまつわるさまざまな情報や知られざる秘話を『JABA×グラゼニ社会人野球公式サポーター』が日替わりで発信していきます。本日は田中優美さんです。

先輩投手から受けた好影響

　JR東日本のエースといえば、社会人No.1左腕と言われている田嶋大樹投手。チームは去年からの都市対抗野球と日本選手権など、ほとんどの試合で田嶋投手を先発に起用していました。今年のドラフト会議ではオリックスと西武から1位指名を受け、抽選の末、オリックスへ。今季限りで退社することがほぼ確実となった今、来季からはどの投手を主力として起用するのか気になります。

　大黒柱がいなくなる来季、どの投手に期待をしているのか、普段から近くで見ているJR東日本の複数名のマネジャーに聞いたところ名前が真っ先に挙がったのが板東湧梧投手です。

　鳴門高を卒業後、JR東日本に入社して今年で社会人4年目の板東投手。入社歴としては田嶋投手の1つ上にあたります。

　期待がかかっている板東投手ですが「正直、田嶋の代わりになれるほどの力は今はないです。今の力じゃまだ全然足りません」と言います。それでも「そう言ってもらえるとうれしいし、責任を感じます。ここから頑張って来年はエースになりたいです」と決意を教えていただきました。

　そんなやる気あふれる板東投手ですが、入社すぐのころは野球に対して熱くなかったそうです。意識が変わったのは一昨年までJR東日本で活躍し、プロへ進んだ関谷亮太投手（現ロッテ）の影響だと言います。

「関谷さんは野球になるとスイッチが入り、練習への取り組み方がすごいです。自分は高校から入ってきて、関谷投手の取り組みを見て野球観が変わりました。関谷投手は野球が軸で行動している人。僕はそんな感じではなかったので、そこが社会人に入って、関谷投手に出会って変わった部分。野球に対する熱が上がりました」と関谷投手を尊敬している様子がうかがえます。

　11月6日に行われた日本選手権1回戦では9回表に登板し、1イニングをしっかりと抑えました。チームは三菱重工広島に1対4で敗れましたが試合後、堀井哲也監督は「田嶋の後に大澤（信明）、板東がよくしのいでくれたと思います。終盤にあともう一息というところで、もう点をやれない状態なので、いい投手をどんどん使っていこうと思って代えました」と評価しました。

　監督からの太鼓判も得た板東投手。来季の目標を「都市対抗はまだ投げたことがないので、1戦目で投げられるような、信頼される投手になりたいです」と話してくださいました。今後のさらなる活躍に注目していきたいと思います。

PROFILE

なりた・さやか●1990年7月30日生まれ。山梨県出身。ニックネームは「さやくま」。野球観戦歴は家族の影響で幼少時から。趣味は料理とスポーツ観戦、特技は健康食作り。

とよしま・わかな●1986年12月14日生まれ。愛知県出身。ニックネームは「豊ちゃん」。野球観戦歴は小学生のころから。趣味は暗記、特技は歴史に詳しいこと。

たなか・ゆみ●1992年5月21日生まれ。神奈川県出身。ニックネームは「ゆーみん」。野球観戦歴は高校1年生のころから。趣味は動物とたわむれる、特技は脚が柔らかいこと。