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97年、背番号を「32」から「7」に変更した松井
「524133974276」
この12ケタの数字が意味するものは何か? 一見、意味のない羅列に見えるかもしれないが、1990年代前半、黄金時代を築き上げていた
西武を熱心に応援していた人なら思い至るのではないか。正解に近づくために、数字を区切ると以下のようになる。
「5」「24」「1」「3」「39」「7」「4」「27」「6」
答えは当時のレギュラー野手が背負っていた番号をスタメン順に記したものだ。
一番・
辻発彦、二番・
平野謙、三番・
秋山幸二、四番・
清原和博、五番・
デストラーデ、 六番・
石毛宏典、七番・
笘篠誠治、八番・
伊東勤、九番・
田辺徳雄 圧倒的な強さを誇った当時の主力たちの背番号は、私の頭の中に強く焼きついた。
「プロ野球選手にとって背番号はもう一つの顔である」とはよく言ったものだ。冒頭の12ケタは今でもそらんじることができる。
背番号がモチベーションになることも、よくあることだ。
例えば
松井稼頭央(西武)。今季、西武に復帰し、当時着けていた「7」をふたたび背負うが、PL学園高から入団時は「32」だった。ただ、ルーキー時代から自分の好きな数字を着けたい気持ちが強かったという。
「僕は奇数が好きなんです。なぜ? と聞かれたら困るんですけど、特に『1』『3』『5』『7』という数字が好き。だから、若手のころ、いろいろ考えていました。『1番でショートはカッコいいなあ、ショートで3番は違うかな』とか」とかつて話してくれたが、そういう気持ちを持ち続けたことも、野球に取り組む原動力になっていたという。
“言霊”ならぬ“数霊”。背番号には不思議な力が宿っているような気もする。
文=小林光男 写真=BBM