小錦がやっと降りてくれたと思ったが……
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は3月29日だ。
1997年、前年96年には
ロッテで14勝を挙げた2メートルの左腕・
エリック・ヒルマンを
巨人は年俸2億5000万円(推定)の2年契約、つまりは5億円で獲得。だが、同年は肩の故障でわずか2試合の登板に終わり、翌98年のキャンプでは有名な「肩に小錦(当時200キロ超だったハワイ出身力士)が乗っているような違和感」を訴えた。同年は一軍登板もなく、解雇となったが、実は、この年、“幻の7球”があった。
3月29日の
西武とのオープン戦(東京ドーム)だった。実戦を回避していたヒルマンに対し、
堀内恒夫投手コーチは「まずはファームで投げさせてから」と話していたが、本人から「1回でいいので一軍で投げさせてほしい」としつこいくらいにアピール。
長嶋茂雄監督が「あれだけ投げたがっているんだし、いまは満ち潮のときだから」とGOサインを出した。
わずか1イニング。ストレートの最速は137キロだったが、見事7球で三者凡退とまったく危なげなし。ヒルマンも「真っすぐが通用するかどうか試したかった。いまは肩の痛みもない」と笑顔を見せていたのだが……。
写真=BBM