プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 別名“鳥さん世代”?
プロ野球チームの名称に、必ず付随しているニックネーム。2018年現在、そのうち鳥類をニックネームとしているチームに名選手が集中しているのが、この1984年に生まれた世代の不思議な特徴だ。
鳥類チームの生え抜きもいれば、哺乳類チームから移籍してきた選手もいる。もちろん偶然だろうが、この傾向は異色中の異色。世代に突出した存在がいないこともあって、カモメをマスコットに掲げる
ロッテにならって“エアフォース(空軍)世代”と銘打ってみた。
【1984年生まれのベストナイン】(1984年4月2日~85年4月1日生まれ)
投手
岸孝之(楽天)
捕手 嶋基宏(楽天)
一塁手
坂口智隆(
ヤクルト)
二塁手
本多雄一(
ソフトバンク)
三塁手
大引啓次(ヤクルト)
遊撃手
西岡剛(
阪神)
外野手
長野久義(
巨人)
バレンティン(ヤクルト)
雄平(ヤクルト)
指名打者
長谷川勇也(ソフトバンク)
バッテリーは猛禽類チーム。
西武のエースから地元の東北にある楽天へFAで移籍して投手陣の支柱となった岸孝之と、楽天の創設2年目に入団して長く司令塔として支え続ける嶋基宏だ。嶋は選手会長としてのリーダーシップも印象に残る。派手ではないが、その意味では世代の顔と言えるかもしれない。
同じく猛禽類では、ソフトバンクから指名打者に13年の首位打者に輝いた長谷川勇也、二塁に10年から2年連続で盗塁王となった本多雄一。ここでは控えに回ったが、破壊力を誇る強打者で、一塁に外野もこなす
吉村裕基(ソフトバンク)も同世代だ。
外野手はツバメがズラリ。13年にプロ野球新記録のシーズン60本塁打を放ったバレンティンに、投手出身で外野手として成功した(高井)雄平、
オリックスから移籍してきた坂口智隆で、ツバメ一色の外野陣も可能だ。内野手では、
日本ハムから移籍してきた遊撃手の大引啓次が三塁に。ここでは坂口も18年から守り始めた一塁に回っている。
本塁打ゼロの育成の星が2人も
伝統の2チームから、ともに世代屈指の好打者が意地を見せる(?)。遊撃を譲らなかったのが西岡剛で、10年に首位打者となってロッテの“史上最大の下克上”に貢献、メジャーでもプレーしたスイッチヒッター。外野に食い込んだ長野久義は11年の首位打者だ。
投手陣では竜ひと筋の戦士が存在感を放つ。11年に最多勝、最優秀防御率の投手2冠に輝いた
吉見一起に、その11年にセットアッパーでは初めてMVPに選ばれた
浅尾拓也がいる。
リリーバーは充実していて、今季日本ハムからオリックスへFA移籍したクローザーの
増井浩俊に、18年はパドレスでプレーしているサブマリンの
牧田和久(西武)、助っ人勢では高速カットボーラーの
マテオ(阪神)に来日7年目を迎えた
マシソン(巨人)ら多彩だ。助っ人の先発タイプでは沢村賞左腕のジョンソン(
広島)もいる。難病とも闘った
大隣憲司(ロッテ)は貴重な先発左腕となりそうだ。
控えに回っているが、“育成の星”が2人もいるのも特徴的だ。育成出身選手初のゴールデン・グラブに選ばれた松本哲也(巨人)に、“下克上日本一”の決勝打を放った
岡田幸文(ロッテ)。俊足巧打に堅守を兼ね備えた外野手で左打者、通算本塁打ゼロと共通項も多い。
打線は破壊力と機動力に小技、投手陣は先発に救援にとバランスは抜群で、それゆえに突出した存在がいないと言える世代。安定した戦力で長期戦にも不安はなさそうだ。
写真=BBM