
手荒い祝福を受ける吉岡。背番号41
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は6月18日だ。
1998年6月16日から始まった近鉄─
ロッテの3連戦。球場は藤井寺だ。大阪ドームはすでにあったが、当時は藤井寺開催のゲームもまだあった。
結果的に同年の5位(近鉄)、6位(ロッテ)の対戦である3試合は、荒れに荒れた。
初戦が12対8、2戦目は9対6。勝者はいずれも近鉄で順位は3位、2位と上がっていた。
迎えた6月18日の3戦目、試合の主導権を握っていたのはロッテだ。近鉄は9回裏の攻撃を前に2対5とリードを許していた。
しかし、二死二塁から途中出場の
吉岡雄二の左中間適時二塁打を含む5連打で同点に追いつき、試合は延長戦に突入する。
11回裏、一死から走者一人を置いて打席に立ったのは、前打席二塁打の吉岡だ。ベンチで近鉄・
佐々木恭介監督は、「打って男になれ!」と言って送り出した。
カウント2ストライク1ボールからロッテの
竹清剛治が投げた中途半端なフォークだった。吉岡のバットが一閃。打球は左中間奥に飛び込むサヨナラ2ランだ。
「めちゃくちゃうれしいです!」。声を弾ませた吉岡。
巨人から移籍2年目、なかなか結果を出せず二軍と行ったり来たりが続いていた男が、3日がかりの乱戦を鮮やかに締めくくった。
両軍の合計安打は1戦目32本、2戦目26本、3戦目32本で合わせて90本だ。
近鉄は、この勝利で首位に。最終的には5位だったが、この年のパは空前の大混戦で残り7試合の時点でまだ優勝の可能性が残されていた。
写真=BBM