今年は10月25日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で54年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。

一番成功した球団はヤクルト

1970年11月9日
第6回ドラフト会議（日生会館）

［1位選手（×は入団せず）］
南海　　　島本講平　（箕島高）
巨人　　　湯口敏彦　（岐阜短大付高）
広島　　　佐伯和司　（広陵高）
大洋　　　野口善男　（法大）
東映　　　杉田久雄　（中大）
阪神　　　谷村智博　（鐘淵化学）
近鉄　　　市橋秀彦　（九州工高）
ロッテ　　樋江井忠臣（中京高）×
中日　　　氏家雅行　（大府高）
西鉄　　　高橋二三男（新日鉄広畑）
阪急　　　小松建二　（大昭和製紙）　
ヤクルト　山下慶徳　（河合楽器）

　荒れた前年から空気は一変して、無風のドラフトとなった。大学、社会人が不作と言われ、甲子園で活躍し、高校ビッグ3と言われた島本、湯口、佐伯の3投手が注目されたが、結果的には指名順どおり1位の3番目までに3人がきれいに消えた。

　三沢高から近鉄入りした太田幸司同様、甘いマスクで若い女性ファンが多く、“第2のコーちゃん”と言われた島本は、のち野手に転向し成功、佐伯も先発ローテに入り込んだが、湯口は一軍登板のないまま病死している。

　唯一、会場が沸いたのは、巨人が2位で大北敏博（高松商高）を指名した際だった。早大進学がほぼ決定していると言われており、プロ入りには難色を示していたからだ。それでも、最終的には巨人入団を決めている。

　一番成功した球団はヤクルトだろう。3位で“小さな大打者”若松勉（電電北海道）、8位でアンダースローの会田照夫（三協精機）、10位で勝負強いバッティングを見せた杉浦亨（愛知高）を獲得している。

　ほか阪急2位に完全試合男の今井雄太郎（新潟鉄道管理局）、巨人3位にコンコルド打法の淡口憲治（三田学園高）、広島5位に75年優勝の胴上げ投手・金城基泰（此花商高）、南海8位に、のち日本ハムに移籍して四番を打つ柏原純一（八代東高）らの名前もある。

　中日3位の三沢淳（江津工高）は社会人に進み、都市対抗で優勝してから入団した。

＜次回に続く＞

写真＝BBM