みんなドキドキの時間

中日が1位指名した大阪桐蔭高・根尾
ドラフト会議が年々ショーアップされている。
考えてみれば、他人の人生がクジで決まっていく悲喜こもごもがリアルタイムで流れているんだからすごい。
全員の契約金だけでも数億円の金になるし、ある意味、公開ギャンブルを見学しているようなもんだよね。
とまあ、怒られそうな冗談はここまで。
選手だけでなく、選手関係者、球団関係者、ファン……みんなドキドキの時間だったと思う。何の関係もない俺も、何となく緊張して見ていた。
クジを引く監督、GMといった人たちはもっと緊張するだろう。
ドラフト会議が仕事始めの新監督はなおさらだ。
中日は
与田剛新監督が一番人気で、地元岐阜県出身の大阪桐蔭高・
根尾昂の交渉権を引き当てた。
1989年、平成最初のドラフト会議で与田を1位で指名したのが、
星野仙一さんの監督時代。星野さんは、就任1年目が86年秋のドラフト会議だったけど、このときは地元・享栄高の左腕、
近藤真一を1位で5球団と競合しながらクジを引き当て、交渉権を獲得している。
ドラゴンズファンは、あのときのことを思い出したんじゃないかな。星野さんは就任2年目、88年にリーグ優勝した。与田監督もあやかりたいところだろう。
与田監督だけじゃなく、新監督(復帰も含め)のクジ運はひそかに注目していたんだが、クジを引いた4監督で言えば、与田監督以外は
阪神・
矢野燿大監督は2回連続失敗。
オリックス・
西村徳文監督が1回失敗、
巨人・
原辰徳監督が2回失敗。要は与田監督以外全敗だった。出だしは、痛み分けか。
まあ、原監督はこれで1勝9敗らしいし、新監督じゃないけど、
ソフトバンク・
工藤公康監督は5連敗。クジ運とチームの強さは関係ないってことだ。
ただ、特にソフトバンクはあれだけ層が厚いし、育成から
千賀滉大、
甲斐拓也と主力選手が出ている。少しくらい外しても関係ないんじゃないかな。しかも結果的にはリリーフで即戦力の東洋大・
甲斐野央でしょ。甲斐野のこれから次第だけど、大成功ドラフトになる可能性も高い。
週べのコラムにも書いたけど、今回のドラフトの最大の特徴は、最初の1位指名で高校生野手が11球団だったこと(根尾も含めて)。昔は大学、社会人の即戦力投手、人気がある甲子園のスター投手が1位で競合することが多かったけど、今回は、金足農高の
吉田輝星ですら、外れ1位の競合なしだった。
もっとも高いポテンシャルがあると評価する選手が1位。その後で自分のチームに欠けた選手を取っていくという形が定着してきたようにも思う。
もう一つは、今年に始まったことではないが、大阪、兵庫の強さ。1巡目でこの2県以外は5人だけど、その中に大阪桐蔭高の根尾、京都出身の東洋大・
上茶谷大河がいる。西高東低、それも阪神地方の強さが際立っている。
そう考えると、プロも阪神、オリックスがもう少し頑張らないと。
矢野監督へのお勧めは、俺のひいき目もあって4位の斎藤友貴哉。実はホンダで少しだけだけど見た選手。体も大きいし、もしかしたら化けるかなと思っていた。
頑張れ、斎藤。ツキが落ちてる阪神を救ってくれ。
裸で一から……
今回のドラフト指名リストをスポーツ新聞を見たら、全選手の担当スカウトが入っていた。懐かしい名前ばかりだったな。
表には出てこないけど、ドラフト会議はスカウトにとっても晴れ舞台。ただ、プレッシャーもものすごい。自分が推薦した選手を獲得できるのか、獲得できたらできたで球団は何千万円と払うわけだから、それに見合う活躍をしてくれるのか。それもまたプレッシャーだ。
結果的に今回のドラフトで指名されたのは104人。全員が入るわけじゃないけど、それと同じくらいの選手が退団する。毎年1割以上が入れ替わり、そのほとんどが自分の意志じゃなくクビ……。シビアな世界だ。
いくら「裸になって一からやります。だから残してください」と言っても、それで残留できるほど甘くない。巨人にもそんな選手がいたがダメだった……。
あれは事情が違う。むしろ裸になったからかな。
失礼、最後にまた脱線しました。