
新入団会見で緊張した表情を見せる甲斐野
今秋のドラフトで東洋大からは4人が指名され、プロへのスタートラインに立った。150キロトリオとしてドラフト前から注目を集めた右腕3人は、事前の高い評価どおり全員が上位指名される結果となった。
なかでも
上茶谷大河(
DeNA1位)、
梅津晃大(
中日2位)と並び、
ソフトバンクに1位指名された
甲斐野央は、最速158キロとマークするなど頭一つ抜きん出た存在だ。
12月6日に行われた新入団会見では、記者の質問に「160キロを出せたらうれしいです。出るところまで出せれたら」と自慢のストレートへの自信を語り、さらに
大谷翔平(MLBエンゼルス)が持つ国内最速165キロ超えへの意欲をのぞかせた。大学時代から速球を武器にクローザーとして才能を発揮。プロでも「球速にはこだわりがある。打者をストレート、気持ちでねじ伏せていくのが目標」とスタイルを変えるつもりはない。
しかし、甲斐野が飛び込むのは、12球団トップの投手層を誇るソフトバンク。当然、不安はある。かかるプレッシャーも他球団の比ではないだろう。
「正直に言えば、不安ばかりです。本当にすごい投手の方々ばかりですから、そこに割って入っていくのは簡単なことではないです。でも、不安ばかりでプレーをしていたら成長はありません。持ち前の『負けん気』で頑張りたいです」
大学時代からリリーフへのこだわりを持つが、ソフトバンクでは今季、最多セーブ投手のタイトルを手にした
森唯斗、さらに来季は最強守護神の
サファテが股関節の手術から帰還する。甲斐野にとっては、与えられたポジションで結果を出すことが最優先となるだろう。「クローザーは最終目標というか、自分はまず登板機会をいただけるよう、技術と体力をつけることです」
サファテ、森、
岩嵜翔、
加治屋蓮、
石川柊太ら強力なブルペン陣が並ぶ中、アマチュア最速右腕はルーキーイヤーから存在感を放つことができるか。
文=滝川和臣 写真=BBM