背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。 王が唯一の永久欠番
どの数字よりも真っ先に数えられる「1」というナンバー。どのチームも、どの選手も、ひたすら1位を追い求めてプレーしている。どの数字よりも明快な目標、と言えるだろう。
高校野球のエースナンバーでもある背番号「1」。かつては近鉄でエース左腕の
鈴木啓示が長く背負い、引退とともに永久欠番に。日本プロ野球で「1」が永久欠番となった第1号でもあったが。近鉄の消滅とともに歴史の中に消えていった。
一方、プロ野球の「1」は人気と実力を兼ね備えた好打者が多く、“チームの顔”といえる。現時点で唯一の永久欠番が巨人の王貞治だ。早稲田実高で投手だった王は、巨人でも「1」を背負い、一本足打法でホームランを積み上げる。“ビッグ1”と呼ばれ、ピンクレディーの『サウスポー』にも歌われた。868本のホームランをはじめ、多くの打撃記録で歴代1位。これほど「1」が似合い、その印象を「1」に残した男はいないだろう。
王は巨人の助監督、監督としても「1」を着け続けたため、現在では唯一となった王の「1」が永久欠番となったのは退任後の1989年だ。以降、多くの選手が王の「1」にあこがれ、目標としてきた。やはり好打者が多いが、少数派ながら投手もいる。迎えた2019年も、その傾向は変わらない。
【12球団・主な歴代「1」】
巨人
白石敏男、
南村不可止(侑広)、王貞治★
阪神 伊賀上良平、
吉田義男(監督)、
オマリー、
中込伸、
鳥谷敬☆
中日 牧野茂、
高木守道、
近藤真一、
福留孝介、
京田陽太☆(2019年~)
オリックス 宮武三郎、
簑田浩二、
福良淳一、
後藤光尊、
中島宏之 ソフトバンク ブレイザー、
桜井輝秀、
秋山幸二、
柴原洋、
内川聖一☆
日本ハム 大下剛史、
広瀬哲朗、
菅野光夫、SHINJO、
斎藤佑樹☆
ロッテ 伊藤庄七、
八田正、
愛甲猛、
小坂誠、
清田育宏☆
DeNA 近藤昭仁、
山下大輔、
進藤達哉、
金城龍彦、
桑原将志☆
西武 深見安博、
伊藤光四郎、秋山幸二、
佐々木誠、
栗山巧☆
広島 白石勝巳、
古葉毅(竹識)、
山崎隆造、
前田智徳、
鈴木誠也☆(2019年~)
ヤクルト 井上親一郎、
若松勉、
池山隆寛、
青木宣親、
山田哲人☆
楽天 塩川達也、
岩村明憲、
松井裕樹☆
(☆は2019年、★は永久欠番)
鈴木と京田が新たな後継者に

広島・鈴木誠也
王が永久欠番の巨人と、中島の退団で空席となったオリックスが欠番。楽天でクローザーを担う松井と日本ハムで期待を背負い続ける斎藤が投手で、ほかは野手だ。阪神の鳥谷やソフトバンクの内川、西武の栗山らベテランから、ヤクルトの山田のように全盛期を迎えつつある好打者まで、まさに主力。新たに「1」の後継者が誕生したのが広島と中日だ。
広島では、巨人の初代「1」でもあり、広島の創設期における中心人物だった白石から始まり、監督として黄金時代を築いた現役時代の古葉らを経て前田が継承、その引退後は空席となっていた「1」を鈴木が背負う。FAで
丸佳浩が抜けた広島にあって、その責任の重さを象徴しているかのようだ。
一方、二塁守備の名手だった高木、メジャーを経て阪神でプレーしている福留ら第一線で活躍した好打者が並ぶ中日では、17年の新人王に輝いた京田がプロ3年目にして後継者に。鈴木と同様、期待の大きさが分かる。鈴木も京田も、ともにヒットメーカーのナンバーでもある「51」からの変更だ。
写真=BBM