
完投の岩隈[右]を満面の笑みで迎え入れる田尾監督
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は2005年3月26日だ。
球界再編を経て50年ぶりに新規参入を果たした
楽天が
ロッテの開幕戦(千葉マリン)で3対1の勝利を果たした。
先発は初代エースとしてチームの期待を一身に背負った
岩隈久志だった。オープン戦から中12日の登板。移動疲れで疲労がピークに達したため、最終調整が不十分な状態で不安を抱えてのマウンドだった。
終盤はさすがに疲れを隠せず、最速147キロの速球は130キロ台前半まで落ち、8回には体のバランスを崩して転倒する場面も見られたが、それでも「粘りの投球ができたし、野手の皆さんのプレーにも助けられました」と気力を振り絞っての完投劇。「みんなの力で勝ちたいという思いでした。本当にうれしいです」と笑顔がこぼれた。
野手陣もエースの力投にこたえた。先制適時二塁打の
川口憲史は「この独特の雰囲気の中で野球ができて最高です。これからも乗っていきたい」。2点目のタイムリー打の
山崎武司は「よくぞこういう場面で打席が回ってくるものだと運命的なものを感じた。うれしいね」。
初陣を白星で飾り、笑顔で選手を迎え入れた
田尾安志監督の目は、そのあとうっすらとにじんでいた。
写真=BBM