昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 巨人ベロビーチキャンプ終了
今回は『1967年4月3日号』。定価は60円。
ベロビーチの
巨人キャンプが終了。巨人ナインはドジャース専用機「K・
オマリー号」(68人乗り4発ジェット推進エンジン)でベロビーチからロサンゼルスに向かった。
遠征の全費用は、およそ3000万円だったという。
総じて評価が高かった日本人選手であるが、おそらくは社交辞令も入っている。
ただ、
王貞治への評価は少し違っていた。とにかく大絶賛。
王がチームの最高年俸でない、と聞くと(最高は
長嶋茂雄)、一様に驚きの表情を浮かべた。
オープン戦で対戦したアストロズの四番ウィンは
「王ならメジャー・リーグのどの球団でも4万ドルの契約は結ぶだろう」
と言っていた。
投手に対しては、「コントロールは一流だが、スピードが不足している」。
また、「日本のピッチャーは真っすぐは投げるが、ファストボールがない」という評価もあった。
「彼らのいうファストボールとはストレートを投げ、自然にシュートしたり、スライスしたり、ホップしたりする球が、すべて含まれている」
という記事もあったので、速さが足りないということに加え、素直なフォーシームばかりという意味かもしれない。
もう一つ、別の大リーグ組織が動き出した、という記事もあった。
アメリカで生まれた「グローバル・リーグ」である。
これはミルウォーキーのジム・デルベク氏が提唱者。きっかけはブレーブスがミルウォーキーからアトランタへフランチャイズを移動したことらしい。デルベク氏は反対運動の先頭に立っていた。
要は、“逃げられた”憤りが原動力だった。
1966年末にはフェ
ニックスで創立総会を行い、すでにミルウォーキー、ダラス、オマハ、ジャージー・シティーの4都市から球場使用権を得ている。
同リーグは、これにあと国内で4都市、海外では東京、マニラ、メキシコ・シティー、トロントでの球団結成を目標にし、態度保留は日本とフィリピンだけ、と伝えられた。
日本の井原コミッショナー事務局長は、
「現状ではプロチームが参加することは不可能だろう」
とコメントしている。
では、また月曜日。
<次回に続く>
写真=BBM