
プロ初先発で5回2失点と合格点の内容を見せた大谷
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は2013年5月23日だ。
未知なる扉が開いた。すでに打者として15試合に出場し、打率.308をマークしていた
日本ハムのドラフト1位、
大谷翔平がこの日の
ヤクルト戦(札幌ドーム)でプロ初先発を果たした。
ヤクルトの一番・
ミレッジへの初球、外角低めに外れた直球は152キロをたたき出した。始まった伝説を見届けた3万6608人の大観衆から、どよめきと歓声が湧き上がる。初回はバッター3人にオール直球勝負。特異な投手と野手の二刀流挑戦に、半信半疑だった好奇の目をクギ付けにし、一変させた。
3回、
バレンティンへの直球はプロ入り最速157キロをマーク。
ダルビッシュ有が日本ハム在籍時にも到達できなかった球速に、底知れぬ可能性が見えた。
勝ち負けはつかなかったが、5回6安打2失点。全86球の軌跡に明るい未来が照らし出されていた。
大谷は少しだけ笑いながら振り返った。
「ここがスタート。いい面と課題の両方が出たことが収穫で、今後の成長につながる」
栗山英樹監督は「なぜ2つやらせたか、分かってもらえたと思います」と、うなずいた。
写真=BBM