
サイクル安打を達成してMVPに輝いた古田
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1992年7月19日だ。
前日、甲子園で行われたオールスターは5回に
石井浩郎(近鉄)、
田辺徳雄(
西武)、
佐々木誠(ダイエー)が球宴史上初の3打者連続本塁打を放つなど、6対1とパ・リーグが快勝した。続く第2戦(千葉マリン)、注目は先発・
桑田真澄(
巨人)と
清原和博(西武)の対決。“KK対決”を盛り上げようと清原は一番で起用されたが、セ・リーグもそれに対抗して
古田敦也(
ヤクルト)の名をラインナップの先頭に記した。
球宴史上初の捕手の一番起用。それに応えて、球場の視線を一身に集めたのは古田だった。1回表に中越え三塁打を放つと、3回表には中前打。第3打席の5回表には右翼席へ本塁打を叩き込み、サイクル安打に王手をかける。
第4打席は右飛に倒れたが、ラストチャンスとなる5打席目が9回表に回ってきた。
河本育之(
ロッテ)の前に2ストライクを追い込まれたが、バットを短く握り替えて強くボールにコンタクト。センターオーバーの二塁打となり、球宴史上初のサイクル安打の偉業が達成された。セも4対2で勝利した。
「岡崎(郁。巨人)さんも(本塁打を残して)サイクルヒットがかかっていたので、ツモッたほうがMVPやな、と意識していた。秋山(幸二。西武)さんが捕れなくて、バウンドした打球が見えたときはうれしかった」と古田。最後の打席は三塁まで進めるタイミングだったが、「足がもつれて行けなかった」と、無理やり? 二塁打にしたが、見事なバッティングを見せた。
写真=BBM