週刊ベースボールONLINE

夏の甲子園名勝負

初出場春夏連覇に挑む済美を駒大苫小牧が破って北海道勢初優勝!/夏の甲子園名勝負

 

いよいよ第101回大会を迎える夏の高校野球。1915年、つまり大正4年に始まり、昭和、平成という時代を経て、この夏が令和最初の大会でもある。昨夏、平成最後の大会となった100回までの長い歴史の中で繰り広げられた名勝負の数々を、あらためて振り返ってみる。

初出場春夏連覇vs.北海道勢初優勝


駒大苫小牧は糸屋が2ランを放つなど、20安打13得点と済美に打ち勝った


 2004年の夏。甲子園の決勝は、済美と駒大苫小牧、ともに強力打線を擁する両校が、それぞれの“初”が懸かった一戦となった。

 夏の大会は初出場ながら、やはり初出場だった春のセンバツで初優勝を成し遂げた済美は、夏も初戦の2回戦から打撃爆発。8点を失いながらも11点を奪って秋田商を下すと、3回戦ではエースの福井優也(現・楽天)が岩国を完封、打線も鵜久森淳志(のち日本ハムほか)の3ラン本塁打などで6得点と援護した。準々決勝では強豪の中京大中京との接戦をサヨナラで制し、準決勝は福井の完投、鵜久森の本塁打などで快勝。史上初の初出場春夏連覇が懸かった決勝に臨んだ。

 対する駒大苫小牧は、夏4度目、春夏を合わせて5度目の出場ながら、この大会の初戦となった2回戦で甲子園初勝利。15安打7得点で佐世保実を破ると、続く3回戦でも7得点で日大三に競り勝ち、準々決勝では涌井秀章(現・ロッテ)を攻略して横浜に圧勝、準決勝は東海大甲府の打撃戦を制して、決勝へとコマを進めてきた。決勝で済美を破れば、北海道勢としての初優勝となる。

 初出場春夏連覇か、北海道勢の初優勝か。ともに打撃力を誇る両校が“初”を懸けた頂上決戦は、やはり打撃戦となった。

 1回表から済美の打線が暴れて2点を先制。その裏、すかさず駒大苫小牧も1点を返す。だが、続く2回表には済美が5四死球を絡めて3点を加え、駒大苫小牧を突き放しにかかった。それでも駒大苫小牧は3回裏に2連続長打で2点、2四死球のあった4回裏には2本の長打を含む4安打で3点を奪って逆転に成功したが、続く5回表に済美は3安打で同点に。6回表には先頭打者で二番の小松紘之がソロ本塁打を放って勝ち越し、以降4連打など、この回5安打で3点を奪う。

 その裏には駒大苫小牧も1四球から五番の糸屋義典が2ラン。二死から九番の五十嵐大が適時打を放って、たちまち同点に追いついた。

駒大苫小牧は毎回20安打13得点


 明暗を分けたのは7回だった。7回表、済美は先頭打者の福井が中安打で出塁も後が続かず無得点。その裏、駒大苫小牧は敵失も絡み2連続長打を含む4連打で3点を勝ち越した。

 8回表は済美が3連打で1点を返したが、その裏には駒大苫小牧が四球の走者を犠打と適時打で還す手堅い攻撃で1点を追加。9回表には先頭から2連打を許すも併殺でピンチを脱し、そのまま逃げ切った。

 両チーム合計39安打の乱打戦を制したのは、2度のビハインドを跳ね返し、初球から打ちにいく積極的な打撃で決勝の最多記録に並ぶ毎回の20安打、大会新記録のチーム打率.448をマークした駒大苫小牧。全5試合で失策1という堅守もチームの支えとなった。

 過去85回の大会で、1度として“白河の関”を超えなかった深紅の優勝旗は、一気に“白河の関”どころか津軽海峡をも飛び越えて、初めて北の大地に翻った。


2004年(平成16年)
第86回大会・決勝
第16日

済美    230 013 010 10
駒大苫小牧 102 303 31x 13

[勝]鈴木
[敗]藤村
[本塁打]
(済美)小松
(駒大苫小牧)糸屋

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング