
新人特別賞を受賞した阪神・近本
11月26日に開催された「NPB AWARDS 2019」。シーズンを彩った表彰選手やタイトルホルダーが一堂に会し、プロ野球の1年を締めくくった。
注目は会場で初めて発表されるセ・パのMVPと新人王。MVPはパ・リーグが
西武の
森友哉、セ・リーグは
巨人の
坂本勇人と、両リーグの優勝チームからの順当な選出。MVPは1位5点、2位3点、3位1点の記者投票を点数化して決められるが、森は有効投票総数254のうち1位票222、2位票25を集めて1189点。1位票21、2位票117で485点だった2位の
中村剛也(西武)に大差をつけて初の受賞となった。
坂本も有効投票総数299のうち1位票が261、2位票も32の1403点。1位票24、2位票162で665点の
山口俊を圧倒してプロ13年目で初の栄冠となった。セ・リーグで遊撃手がMVPに選ばれるのは史上初となり、「誇りに思う」と喜びを口にした。
パの新人王も圧勝劇だった。有効投票総数254のうち206票を獲得した
高橋礼(
ソフトバンク)が球団として2009年の
攝津正以来となる新人王に輝いた。2位は39票を集めたソフトバンクの“新人”
甲斐野央だったが、今季の活躍を思えば大卒2年目の高橋の受賞に異論はないだろう。
事前の予想も、実際の票も割れたのがセの新人王だ。高卒2年目、10代にしてリーグ3位の36本塁打、96打点をマークして特大のインパクトを残した
ヤクルト・
村上宗隆と、
長嶋茂雄(巨人)のセ・リーグ新人最多安打を更新する159安打を放ち、36盗塁で盗塁王を獲得した阪神・
近本光司の争いは、村上に軍配が上がった。
有効投票総数299のうち村上が168票、近本が129票という僅差での決着となり、村上がヤクルトとしては2013年の
小川泰弘以来、6年ぶり11人目の新人王受賞。高卒野手の受賞は1988年の
立浪和義(
中日)以来、高卒2年目の野手としては初の快挙だった。
アワードの進行上、新人王が発表される前のセ・リーグ連盟特別表彰の中で、近本が新人特別賞を受賞したために新人王は村上の手に渡ったことが事実上、知られてしまったが、近本は「目指していただけに本当のところは残念だけど」と悔しさをにじませながら、「盗塁王とセ・リーグ新人安打記録を更新できたことでこの賞をいただけたと思う。野球の醍醐味であるホームランをたくさん打った村上君が新人王にふさわしいと思います」と素直に新人王を称えていた。
写真=小山真司