
吉田正尚は明確な意識を持ち、春季キャンプでもバットを振る
木製バットの乾いた打球音が響きわたり、グングンと伸びる打球がスタンドへ消えていく。豪快な打撃練習は、キャンプを観る者の醍醐味ではあるが、当然、選手にとってはケージの中での“結果”にこだわる必要はない。大事なのは個々が掲げる課題克服であり、テーマの遂行だ。ただ、ケージの中だけでは分からぬこともある。昨年のプレミア12日本代表に選ばれ、
オリックス打線の中軸を担う吉田正尚はこう話す。
「練習は練習で、そこでは分からないこともある。やっぱり実戦の中で確認して練習とのすり合わせが必要。そして、また練習をする。その繰り返しです」
プロ5年目を迎える吉田正は今春キャンプの調整を一任されている中で、2月11日はランチ特打を行い、午後の紅白戦も志願して出場と精力的に汗を流す。グリップ位置を高く上げるなどのフォーム改良中ということに加え、実戦出場の理由は先のコメントがすべて。この日の紅白戦は三番・DHで出場も結果を急いでいるわけではない。「まだ変化球に対応できていない」と現状を確認できたことが収穫だ。
昨季は開幕から安打が出ずに、苦しいスタートとなっただけに「最初から結果を出していきたい」と、開幕日3・20に標準を合わせる。新助っ人の
ジョーンズが加入し、モヤ、T-岡田らとの“強力打線”形成にも期待がふくらむ中で、背番号34の打棒は欠かせない。紅白戦やオープン戦でのすり合わせを経て、万全の状態で2020シーズンの開幕を迎えるため、明確な意識を持ってバットを振っていく。
取材=鶴田成秀