リリーフ陣の負担が怖い

原監督は余裕の表情にも見えるが、内心はどうか…
巨人がオープン戦絶不調。13戦勝ちなし、2勝10敗4分で全日程を終えた。3年ぶりの最下位というが、確かによく負けた。
ただ、結果自体はあまり意味がないと思う。所詮オープン戦だし、今年はまだ、開幕まで1カ月以上ある(かもしれない)。
勝つに越したことはないが、もともと
原辰徳監督はオープン戦の勝敗を気にしないタイプだった。
俺もコーチ時代そうだったが、俺の場合、それどころじゃなかったと言ったほうがいい。
夏の高校野球の間、
阪神に「死のロード」と言われる時期があるが、実は巨人にとって意外ときついのがオープン戦。パの球団には悪いが、札幌、福岡の移動はセの中ではない。キャンプが終わって東京に帰り、それでなくても疲労がたまっているのに、東京で試合した後、ロードに出る……。
これが、結構きつかった。
先発はいい。1週間に一度、投げたら帯同せずに帰ればいいから、むしろ楽だ。
問題はリリーフ。俺のときは5人を常に帯同させた。
高木京介とか一、二軍の間の選手。若い選手のチャンスが増えていいんじゃないかと思うかもしれないけど、遠征でそうそう入れ替えをするわけにもいかないから、彼らの疲労度は相当なものだった。
しかも、オープン戦となると、先発は最初が60球で、徐々に球数を増やすが、せいぜい3回から5回で交代だから、いつも以上にリリーフの負担が増える。
いわば、先発の調整のしりぬぐいをやるのが、リリーフの5人というわけだ。
しかも勝ちパターンのリリーフ投手を酷使するわけにはいかないから、多少、打たれようが続投させなきゃいけないときもある。
時期的には結果を出してアピールしなきゃいけないのに、それで防御率も落ちることもあった。
試合を重ねると、フィジカル的にもメンタル的にもボロボロになってくる。
俺も彼らの疲労を考慮して起用したつもりだけど、なかなか難しかった。遠征先でポケットマネーを渡し、「これでうまい飯食って、リフレッシュしてこい」と言ったこともある。
ただ、オープン戦はそこまで長くないし、徐々に実戦に近い継投になるが、今年は違う。
開幕が決まっていない中で、少しは減らすようだが、ヘタしたらいつもの倍の試合数がある。リリーフの連中の負担はさらに増しているだろう。
練習試合でいくら勝っても給料は上がらんだろうし、故障したらそこまで……。大変だな、みんな。
話が逸れた。
原監督はおそらく負けたことについては気にしてないと思うが、違うことは気になって仕方がないと思う。
投手の編成だ。
巨人のオープン戦の最大のテーマは投手陣の確立だったはず。そのためには勝っても負けても構わないとは思うが、肝心の投手陣の確立ができなかった。
先発、中継ぎ、抑え。すべて未知数だからね。
計算できるとしたら、
菅野智之だけ。あとは
サンチェスかな。韓国球界でやってきたから公式戦が始まれば、そこそこはいくだろう。
ただ、そこに続く選手がいない。メルセデスが故障明け、
戸郷翔征も
桜井俊貴もやってみなきゃ分からない。
戸郷、桜井は昨年頭角を現した選手だけど、2人に期待してないわけじゃない。
ただ、もともと投手は1年だけじゃ分からない。1年だけなら相手に情報がない中で、自分も怖いものなしで腕を振って結果が出ることもある。
それが相手に情報があり、自分自身もプロのバッターの怖さを感じたときどうなるか……。
逆に言えば、それでも続けて結果を出せたら本物だけどね。
ポイントは
田口麗斗の起用だろうな。ふらふらしてるが、今年のあいつはやると思う。先発に使うのか、リリーフか。どちらもできるだけに首脳陣も迷うだろう。
俺の考え? 少し待ってくれ。一昨日までは決めていたんだが、あいつ、大炎上しやがったからね。
田口、頼むよ。俺はお前に期待しているんだから!