投手2、野手2のプランが浮上

メヒアが好調で新たな悩みが!?
ようやく開幕日が決まり、そこへ向けての練習試合がスタートしたプロ野球。開幕への期間は長くはなく、練習試合が始まったと思ったら、すぐにメンバーの絞り込みをしなければならない時期に入っていくが、今季、
佐々岡真司新監督の下、V奪回と日本一を狙う
広島東洋カープには、開幕の戦力構想をどうするか、ここにきてちょっと悩ましい事態が持ち上がっている。
それは、外国人枠の配分だ。昨年までは、4つの枠を投手3、野手1と割り振る形をベースに戦ってきており、今季も当初はその構想だった。ところがここにきて、フォーム改造の効果もあって、
アレハンドロ・メヒアが6月2日、3日の練習試合で2試合連続弾を放つなど好調。レギュラー争いに名乗りを上げ、一方で外国人の救援投手陣の
ヘロニモ・フランスア、
テイラー・スコット、
DJ.ジョンソンが決め手を欠く投球が続いているところから、4つの枠を投手2、野手2に割り振る形にして、メヒアと新外国人野手の
ホセ・ピレラを両方起用するプランが持ち上がってきたのだ(投手の
クリス・ジョンソンの一軍は確定的)。
ただ、メヒアとピレラを両方起用しようとする場合、その影響は1つのポジションのみにとどまらないため、話は複雑になってくる。メヒアのポジションは本来サードで、ファーストもできるが、ファーストだと少し守備に不安はある。そしてピレラは、本職は外野で、内野もできるが経験豊富なのはセカンドという選手。カープではここまでサードでの起用が考えられてきたが、慣れないポジションで送球に関する不安がつきまとっていた。
ここにきて、本来ファーストに予定されていた
松山竜平にコンディション不良が発生、単に攻撃力だけを考えれば、メヒアがファーストにそのまま入れば話は簡単だったが、さすがにメヒアがファースト、ピレラがサードでは守備が不安すぎるという判断になったのだろう。練習試合での起用を見ていると、ファーストには
安部友裕か
堂林翔太を入れ、メヒアをサード、そしてピレラをレフトで起用する、というのが、メヒアとピレラを両方起用する場合の基本形になりそうだ。
確かにこの形なら、2人とも慣れないポジションで守らなくていいので、守備の不安はかなり軽減される。打線の迫力も増すので、現状ではベストな判断と言えるだろう。
打線の迫力は増すが……
ただ、それはそれで新たな難しさがないわけでもない。ピレラがレフトに回ることにより、当初レフトに予定されていた選手の力を使う場所が難しくなるのだ。チームきっての俊足を持つ
野間峻祥、FAの人的補償で昨シーズンせっかく取った
長野久義、そしてついに打撃開眼のきっかけをつかんだ感じの
高橋大樹らの出番が減ることになるのは、また困った問題だろう。
開幕延期による過密日程への対策のため、外国人枠を広げようかという話も一案として出ているようだが、もしそうなったときには、この、メヒアとピレラを両方使う、というプランは、より現実味を増してくる。
外国人選手を前面に出せば、打線の迫力は増し、一発攻勢も多くなる、が、他方で攻撃は強打に頼る淡白なものに近づく。一方、当初の構想どおりに日本人選手を多く使えば、カープ伝統の機動力を使ったいやらしい攻めはやりやすくなるが、打線全体の爆発力は落ちることになろう。
佐々岡新監督は攻撃陣に関して、シーズン前の段階では「カープの伝統は機動力野球。そこに大きいのを打てる選手をプラスした形を作りたい」と語っていたが、さて、この後、どちらの採用に踏み切るだろうか。その決断によって、新監督の志向する野球が見えてくるような気もする。
文=藤本泰祐 写真=BBM