
ドミニカ共和国戦でリリーフ登板した平良
見事にピンチを脱した。7月28日、日本代表の東京五輪初戦、ドミニカ共和国戦(あづま)。7回表に2点を先制され、なおも二死一、二塁のピンチでマウンドに上がったのは
平良海馬(
西武)だった。これ以上、点を取られると試合展開が苦しくなる場面。しかし、日本代表のデビュー戦でも平良は落ち着いていた。左打者の一番・E.ボニファシオに対してスライダー(ファウル)、チェンジアップ(空振り)で追い込むと、2球続けてストレートでカウント1ボール2ストライク。最後は真ん中低めのチェンジアップでタイミングを外して、遊飛に打ち取ってピンチを脱した。
「無失点で100パーセントの仕事ができて良かったです」と笑顔を見せた平良。前半戦で39試合連続無失点の日本記録を樹立した剛腕が、その実力の一端を存分に見せたが、何よりもそのマインドが国際大会の舞台に合っている。
以前、チームの先輩である
増田達至に「マウンドで何を考えているの?」と聞かれたときに「早くベンチに帰りたいだけです」と答えた。その心は「初対戦の打者だと投げるのも面白いですけど、毎回同じ打者とやるのも……。だから早く帰りたいな、と」。
平良がマウンドで最も心が躍るシチュエーションは初対戦や未知の外国人打者を相手に投げるときなのだという。「どんな打者なのかと、すごく興味が湧くんです」。初見の打者相手に楽しんでピッチングができる平良は、まさに初対戦の打者と戦うことが多い日本代表にうってつけの存在だ。
坂本勇人のサヨナラ打で白星スタートとなった日本。その勝利に平良が追加点を許さなかったことも大きかった。金メダル獲得へ向け、若き右腕がキーマンになるのは間違いない。
写真=BBM