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2022センバツ

【2022センバツ】「昨夏の経験者が頑張った」浦和学院・森監督が特別な思いを持って臨んだ甲子園初さい配

 

父はチームを4強進出へ


浦和学院高は開幕試合で大分舞鶴高に勝利。昨秋から母校を指揮する森監督は、甲子園初さい配で初勝利を飾った[写真右は2安打完封した左腕エース・宮城誇南]


■第1日第1試合(3月19日)
浦和学院(埼玉)4−0大分舞鶴(大分)

 これも、何かの巡り合わせかもしれない。

 今年のセンバツは1992年(第64回大会)以来となる、大会初日が中止になった。この30年前の春、27歳で初めて浦和学院高を率いた森士監督は、チームを4強進出へと導いた。

 浦和学院高は2年生左腕・小島和哉(早大−ロッテ)を擁した2013年春のセンバツ優勝。森前監督は1991年の就任から30年で、春夏計22回の甲子園出場、通算28勝を挙げた。

 昨夏限りで退任し、バトンを受けたのが部長を務めていた同校OBの長男・大氏だった。

 就任直後、昨秋の関東大会で4強へ進出を遂げ、センバツに選出。31歳の若き指揮官は、父と同じ道を歩み、監督として初の甲子園へ乗り込んできた。大分舞鶴高との1回戦は大会初日の第1試合。つまり、開会式直後の開幕試合に組まれたが、3月18日は雨天順延となった。

 父が初めて甲子園で指揮した春以来、30年ぶりとなる大会初日の仕切り直し。森監督には特別な思いがあった。

「昨年夏、私の父親と一緒に甲子園に出させてもらい、初戦敗退(対日大山形高)という悔しい思いをしていますので、今年はしっかり初戦を勝てるように準備してきました」

 2008年夏。森監督自身も投手として甲子園に出場しているが、1回戦で敗退した。高校卒業後、早大、三菱自動車倉敷オーシャンズでプレーし、2016年に母校に赴任。指導の傍らで早大大学院、筑波大大学院で学んだ。

 森監督には就任を機にもう一つ、こだわりがあった。ユニフォームの復刻である。タテジマからかつてのデザインに戻した。

「私が現役時代に着ていたユニフォーム。年代が上の浦学OBの姿を見て、私も浦学に入りたいと思い、入学した経緯があります。浦学OBとともにもう一度、新生・浦和学院として頑張っていきたいと、オールドユニフォームにしました。(あらためて着用すると)気持ち新たに、グッとくるものがありました」

「OBの方に背中を押してもらえるように」


 3月19日、注目のオープニングゲーム。浦和学院高は大分舞鶴高に4対0で快勝した。昨夏の甲子園のマウンドを経験している左腕・宮城誇南(3年)が13奪三振で2安打シャットアウト勝利。打線は四番・鍋倉和弘(3年)が先制打、五番・高山維月(3年)が2ランを放ち、三番・金田優太(3年)も適時打と、主導権を握った。昨夏の甲子園で無念を味わった選手たちが、一冬を越えて躍動した。

 森監督は試合後に言った。

「私としては、プレッシャーがありました。ピッチャー出身ですが、宮城は私よりも落ち着いていた。昨夏の経験者が頑張ってくれた」

 一塁ベンチ前で聞く勝利の校歌は格別だった。

「OBの方に背中を押してもらえるように、次の試合も頑張っていきたい」(森監督)

 主将・八谷晟歩(3年)は森監督を慕っており、チームとしての結束力を強調する。「これまでも、信頼感を持ってやってきた。監督と選手で一つになって、一戦必勝で挑んでいきたい」。30年前、前監督の父は甲子園初さい配で準決勝進出。浦和学院高は投打とも有力選手がそろっており、上位進出が期待される。

写真=田中慎一郎
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