2回戦は本領発揮ならず

77歳の大垣日大高・阪口慶三監督は星稜高との2回戦敗退後、夏への決意を新たにした
■第8日第1試合(3月27日)
星稜(石川)6-2大垣日大(岐阜)
かつて東邦高(愛知)を率い、1989年のセンバツ優勝へ導いた大垣日大・阪口慶三監督は、厳しい指導方針から「鬼の阪口」と言われた。2005年の大垣日大高(岐阜)の監督就任以降、甲子園では柔和な笑顔で選手を鼓舞することから「仏」と表現されるようになった。
77歳となったが、闘志は不変である。野球への取り組む姿勢、勝負へのこだわりは、譲れないプライドがある。今大会、只見高(福島)との1回戦を突破して甲子園通算39勝目を挙げ、歴代7位の木内幸男監督(取手二高-常総学院高)の40勝に王手をかけた。
ところが、ベスト8をかけた星稜高との2回戦で敗退。3失策と守りが乱れ、1回戦では18奪三振で1失点完投の左腕エース・五島幹士(3年)は3回3失点降板と、本来の実力を発揮することができなかった。打線は8安打を放ちながらも、決め手に欠いた(2対6)。
「イレギュラーもしていない。簡単に捕れる打球。ボールの扱いが雑だった。内、外野の守備範囲が狭い。足の回転が遅い。五島はブルペンではボールが走っていたが、プレーボール後は前回とは違うボールを投げていた。(大会)2戦目で、そんなことではイカン。夏までに鍛え上げて、ここに戻ってきたい」
終始、穏やかな口調ではあったが相当、悔しそうであった。

大垣日大高・阪口監督の孫・高橋慎は星稜高との2回戦で右中間二塁打を放った
今大会、孫の三塁手・高橋慎(2年)とグラウンドに立った。只見高との1回戦では2安打、2回戦でも右中間二塁打を放っている。
「ヒット3本が出たので、打撃の面ではいけるのかな」と、収穫を語った一方で「速い真っすぐに対して振り抜けなかったので、力をつけていきたい」と課題を話した。そして、祖父との甲子園をこう総括している。
「楽しかったですが、勝ちたかったです。絶対に夏、戻ってきます」
記者会見で孫と一緒に戦った感想を問われると、阪口監督は言葉を選んでこう話した。
「そうですね……。あまり考えたこともない。一本、右中間へ打ったのは、うれしいことはうれしいですよ。でも、チームが勝つことのほうがもっと、うれしい。それは、残念」
勝利へのあくなき闘争心。大垣に帰ってからもう一度、生徒たちと一緒になって、白球と向き合う。77歳の挑戦は続く。
写真=牛島寿人