通算奪三振率は10.35

現代最強の奪三振マシーンの1人である千賀
前回に続いて奪三振率について見ていこう。
ロッテ・
佐々木朗希の今季の奪三振率がすごい、という話がきっかけだったのだが、「シーズン奪三振率」については歴代1位だった2019年
千賀滉大(
ソフトバンク)の数字をお伝えしただけだった。あらためて「シーズン奪三振率」のランキングをお届けしよう。
最初は規定投球回で区切ろうと思ったが、2020年シーズンに合わせて120イニング&100奪三振以上というちょっと恣意的なランキングにしてみた。2016年の
大谷翔平(
日本ハム)を入れたかったからだ。奪三振率は一つの指標であって、NPBの公式な記録ではないので、ランキングの基準についてはご容赦いただきたい。
規定投球回以上だと大谷の最高は160回2/3を投げて196奪三振だった15年の奪三振率10.98だが、わずかに規定投球回に届かなかった翌16年は140回、174奪三振で奪三振率11.19。2位に相当する数字となる。投手タイトルを総なめにした15年よりも、投打二刀流でフル回転しながら当時のNPB最速164キロをマークした16年のほうが、やはりすごみは増していたとも言えるだろうか。
トップ20のうち千賀、大谷、
ヤクルト時代の
石井一久(現
楽天GM兼任監督)が3シーズンにわたってランキングに登場している。当代きっての奪三振マシーンたちは、常にハイペースで三振を奪い続けているということだが、やはり千賀の存在が光る。前回掲載の歴代奪三振率は1000投球回以上としたためランキングに入っていなかったが、今季6試合に登板している5月4日時点で通算奪三振率は10.35となっており、歴代トップである
野茂英雄(近鉄)の10.31を上回っている。
千賀はあと10回で1000投球回に到達するが、その時点で通算ランキングのどこに飛び込んでくるかを見ていくのも面白いだろう。ちなみに同日時点で今季の奪三振率は8.60と千賀にしてはやや物足りない。ここからどうペースを上げていくか、15.00を記録している佐々木朗にどこまで迫っていけるかにも注目だ。

1968年、シーズン奪三振記録を樹立した江夏
シーズンごとのランキングを見ても、やはり奪三振率については平成以降の投手で占められている。それだけにシーズン最多401奪三振を記録した1968年
江夏豊(
阪神)が異彩を放っている。相対的に見ると、いかに当時の江夏が化け物じみた奪三振能力を備えていたかが想像できる。これも数字で野球を見ることの面白さの一つだろう。
写真=BBM