ヒゲが呼んだニックネームも

ゲームのキャラクター“マリオ”の愛称がついたポンセ
遊撃手と捕手で苦労するかもしれないが、ヒゲの助っ人だけでベストナイン、ドリームチームも組めるかもしれない。ヒゲの“助っ投”は前回お届けしたが、今回は打者編。ヒゲの“量”でいえば2018年から20年まで
中日でプレーしていた
ソイロ・アルモンテが筆頭かもしれない。ただ、増減もあるのがヒゲというもの。投手と比べて母数も多い打者からは、ヒゲだけでなく、それにまつわるエピソードが残る男たちをヒックアップしてみたい。
ヒゲをトレードマークにしながら、オフに電動ヒゲ剃りのCMでヒゲのない姿も披露したのが
阪神の
ランディ・バースだ。CM出演は阪神がリーグ優勝、日本一を飾って“猛虎フィーバー”が吹き荒れた1985年オフのことで、かなり印象が違って見えたが、翌86年にヒゲは“復活”。阪神は歓喜からは遠ざかっていったが、バースは2年連続で三冠王に輝いている。
その86年に大洋(現在の
DeNA)へ入団した
カルロス・ポンセは、その口ヒゲで人気ゲームのキャラクターに似ているといわれて“マリオ”と呼ばれたスラッガー。“同期”の入団だった
ダグ・ローマンも口ヒゲで、2人で“マリオ・ブラザーズ”と呼ばれたこともあった。もちろん、2人に口ヒゲがなければ、このニックネームもなかったはずだ。ローマンは2年に満たず退団してしまったが、ポンセは1年目こそバースの陰に隠れたものの、最終的に5年間プレーして本塁打王1度、打点王2度。ラストイヤーの90年にはヒゲを剃った時期もあったが、これは不振に苦しんでいるという分かりやすいサインとしてファンにも見えたはずだ。

髪の毛とつながるヒゲを蓄え“ライオン丸”と呼ばれたシピン
大洋の“先輩”で同じくヒゲからニックネームがついたのが
ジョン・シピンだ。強打と華麗な二塁守備で鳴らしたシピンは、やはり当時の人気ヒーローから“ライオン丸”と呼ばれたが、
巨人へ移籍してヒゲをバッサリ。巨人は原則的にヒゲが禁止されているためだが、シピンが巨人で乱闘が増えたことで、「ヒゲを剃って凶暴化した」という説もあった。
もちろんプロ野球はヒゲを楽しむものではない。ただ、これもプロ野球を盛り上げる要素なのは間違いない気がする。
文=犬企画マンホール 写真=BBM