打線が活発で6連勝
5月まで波に乗れなかった阪神が交流戦で息を吹き返している。
6月1日の
西武戦(甲子園)から6連勝。3日の
日本ハム戦(甲子園)では6点のビハインドを追いかける展開だったが、
大山悠輔が1試合3本塁打を放つなど9対7で鮮やかな逆転勝利。貧打に苦しんでいた打線が6月に入り、6試合で33得点と1試合平均5.5得点と活発になったことが白星を積み重ねている要因になっている。
「阪神は交流戦で白星を重ねて上位のチームとのゲーム差が縮まっている。最下位ですが、6月に大きく勝ち越せば一気に3位以内にジャンプアップする可能性がある。主軸を担う大山、
佐藤輝明の爆発に期待したいですね」(スポーツ紙記者)
最下位に低迷しているが、投手陣は4月22日の
ヤクルト戦(神宮)から21試合連続3失点以下で球団記録を更新。6失点で記録が止まった5月20日の
巨人戦(甲子園)以降も15試合で12試合が3失点以下、5試合の完封勝利ときっちり抑えている。エースの
青柳晃洋が防御率0.98と抜群の安定感で、西勇輝、
ウィルカーソン、
ガンケル、
伊藤将司、
西純矢と試合を作る陣容がそろっている。救援陣もセットアッパーの
岩崎優が守護神に配置転換されてから、勝利の方程式が描けるようになった。期待以上の活躍を見せているのが
湯浅京己だ。身長183センチの長身から150キロを超える直球と落差の鋭いフォークで三振奪取率が高い。制球も安定していることから四球で崩れる心配もなく、目下16試合連続無失点中で16ホールド、防御率0.82の好成績をマークしている。
藤浪が稼働すれば大きなプラス

今季は2年連続開幕投手を務めた藤浪。ロングリリーフもできる
その湯浅が今月6日に登録抹消された。報道によると、疲労回復のための措置で故障による戦線離脱ではないという。だが、湯浅が担っていた「勝利の方程式」をカバーしなければいけない。
アルカンタラ、
岩貞祐太、
加治屋蓮、
渡邉雄大とコマはそろっているが、この右腕が稼働すれば大きなプラスアルファになる。
藤浪晋太郎だ。
今季は2年連続開幕投手を務めたが、3試合に先発して防御率6.00と不安定な投球内容が続き、4月13日に登録抹消。5月31日に救援要員で一軍に戻ってきた。ロングリリーフもできる右腕は3試合連続無失点。6月3日の日本ハム戦(甲子園)では先発のウィルカーソンが3回7失点KOの後に、4回から2番手で登板。2回2安打無失点の快投で逆転勝利を呼び込んだ。
“1球2種”ができれば
野球評論家の
佐藤道郎氏は4月下旬に週刊ベースボールのコラムで、藤浪について言及。「俺がコーチだったら、あの長身だし、フォークを生かしたい。そのためには角度だよね。今はステップがちょっと広くて、スライダーピッチャーみたいにリリースが低い。フォークも低いところから低いところに行くから、バッターが見極めをしやすいんだ。大魔神(横浜・
佐々木主浩)みたいにステップを狭めて高さをつくり、背負い投げみたいに投げ下ろしたほうがいいと思うんだけどね」と指摘している。
また、「あとはコーチ時代よく言っていた言葉だけど“1球2種”。藤浪を見ていると、フォークというと全部必死に投げて、いいときはいいけど、悪いときはかなり前でワンバウンドしている。そうじゃなく、カウントを取る遅いフォークを覚えたら必ず楽になると思うよ。大魔神もそうだし、俺がコーチ時代に見たカーブがないフォークピッチャーは、兆治(
村田兆治。
ロッテ)も野茂(
野茂英雄。近鉄ほか)も、みんな数種類を投げ分けていたからね。フォークだけじゃない。ほかの球種もみんな同じだよ。真っすぐだって球速を変えたら2種になるでしょ。そうしたら今持っている球種が倍になるんだ。だから、キャッチャーからカーブのサインが出ても、自分で大きいカーブか小さいカーブかを考え、マウンドで自分と会話ができれば、余裕も生まれる」と綴っている。
藤浪も近年は不本意なシーズンが続いているだけに、復活への足掛かりをつかみたいだろう。救援でチームの勝利に貢献したい。
写真=BBM