計算できる外野守備

侍ジャパンのメンバーとして世界一に向けて奮闘している岡本
侍ジャパンに選出された
巨人・
岡本和真が、本職でない外野の守備で評価を高めている。
侍ジャパンの宮崎強化合宿で2月22日にシートノックで左翼につくと、ゴロを捕球してワンバウンドで捕手にストライク返球。力強く正確な送球に、球場がどよめいた。外野の守備に就くのは4年ぶりだが、スポーツ紙記者は岡本の外野守備に太鼓判を押す。
「打撃が注目されるが、岡本は守備がうまい。センスがあるんでしょうね。チーム事情で左翼を守る時期があったが、そつなくこなしていた。落下地点に入るのが速いし、送球も安定している。守備に難がある外野手より岡本のほうが守れると思います」
岡本はプロ3年目の2017年に初めて左翼の守備に就いている。本職が三塁の
ケーシー・マギーを獲得したため、出場機会を増やすために新たなポジションに取り組んだ。翌18年に全143試合出場し、打率.309、33本塁打、100打点と大ブレークしたが、このときは一塁が108試合でスタメン出場と最も多く、左翼で21試合、三塁で14試合出場した。翌19年も左翼の守備で17試合スタメン出場。打率.277、7本塁打、13打点とハイペースでアーチを放っている。20年以降は三塁に固定されているが、外野の守備が計算できない選手ではない。
巨人の将来を見据えれば
侍ジャパンの外野は左翼が
吉田正尚(レッドソックス)、中堅が
ラーズ・ヌートバー(カージナルス)、右翼が
鈴木誠也(カブス)のメジャー組3人が基本陣形になることが予想される。
近藤健介、
周東佑京(
ソフトバンク)が控えているが、不測の事態に備えて岡本も左翼で使えれば、首脳陣にとって心強い。
巨人では三塁のレギュラーで揺るぎないが、スポーツ紙デスクは「左翼・岡本もオプションになるのではないか」と提言する。
「三塁の守備能力が高いので賛否両論の意見があると思いますが、左翼で起用できる選択肢があるなら、遊撃の
坂本勇人を三塁に回し、遊撃にドラフト4位の
門脇誠を起用できる。肩が強く守備能力が高い門脇を遊撃に抜擢した場合、坂本のポジションがなくなってしまう。将来を見据えて坂本を三塁へのコンバートを考えた時、岡本が左翼に回れば問題を解決できる」
「遊撃・坂本」の後継者探し

ドラフト4位・門脇の評価は高い
岡本は
ヤクルト・
村上宗隆を押しのけ、21、22年と三塁で2年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得している。今後の野球人生を考えたときに「チームの顔」としてホットコーナーを守り続けるべきかもしれないが、チームは「遊撃・坂本」の後継者を探さなければいけない時期に入っている。
宮本慎也(元ヤクルト)、
鳥谷敬(元
阪神、
ロッテ)のように名遊撃手は三塁にコンバートされ、守備の負担を減らして活躍するケースが多い。門脇が遊撃のレギュラーとしてメドが立った場合、坂本を三塁にコンバートし、一塁、左翼を守れる岡本を他のポジションに動かす可能性はゼロではない。
遊撃を守る若手有望株のヤクルト・
長岡秀樹、
オリックス・
紅林弘太郎は、攻守でミスが見られた時期があったが、首脳陣が我慢強く起用し続けたことで飛躍的に成長した。もし、門脇を遊撃に据えるなら、多少の失敗には目をつむってスタメンで起用し続ける覚悟が求められる。そのときに坂本の起用法を含め、チームをどう進化させるか。
坂本に代わって今年から主将に就任した岡本は、侍ジャパンでもキープレイヤーになる。複数のポジションを守る可能性があり、
栗山英樹監督の起用法が注目される。
写真=BBM