相手をリスペクトすることが大前提

高校日本代表を指揮する馬淵監督。昨年のワールドカップ[3位]に続いて日の丸を率いる
第31回WBSC U-18ベースボールワールドカップ(台湾、8月31日開幕)に出場する侍ジャパンU-18代表(高校日本代表)が8月27日、東京都内のグラウンドで練習を行った。
日本チームは初の世界一を狙うが、マナーにおいても「王者の戦い方」を目指している。
3位へと導いた昨年のワールドカップ(アメリカ)に続き、チームを指揮する馬淵史郎監督(明徳義塾高)は、選手20人に「アンリトンルール」について説明したことを明かした。
「国際審判員の方が来られて、初回からバントはしない。7点差以上がついたら、攻撃側は盗塁をしない。リードした守備側は、けん制球を投げない。暗黙の規則を確認しました」
選手として「全力プレー」は当然のことだが、相手をリスペクトすることが大前提にある。
野球とは言うまでもなく、アンパイアがジャッジし、規則に従って試合が進行する。「勝利至上主義」を前面に出し過ぎて、ルールブックに記載されていないからと言って「すべてOK」ということではないのだ。馬淵監督がコメントした「アンリトンルール」を念頭に置いておかないと、相手から報復されるケースもある。アンパイアの印象を悪くすれば、自チームにとって、良いことは一つもない。相手があって初めて試合は成立する。ゲームを動かす審判員を含めて、フィールドの全員が気持ち良くゲームを進めることが求められる。
実はこの「国際ルール」を理解していない選手も多い。ただ、誤解してはならないのは、国際大会を戦う上での「国際ルール」ではなく、日本国内においても実践すべき「マナー」であることを認識しておかなければならない。大会本番を前にしてレクチャーを受けた高校球児にとって、有意義な時間となったはずだ。
戦いの地・台湾へはもちろん、勝負をしに行くわけだが、世界の野球を愛する同世代が集まる場でもある。もう一つの目的は、国際交流と親善の場。侍ジャパンU-18代表は出場12チームの中でも、最も模範的な振る舞いを示し、名実とも「世界一」の集団を目指す。
文=岡本朋祐 写真=菅原淳