週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

プロ17年目で初の首位打者も…完全復活した「巨人のFA戦士」は

 

勝利を呼ぶ一打を放つ一番


昨年の不振から一転、復活した打撃を見せる丸


 今後の対戦を考えた上でも、大きな白星だ。巨人が7月16日の阪神戦(東京ドーム)で2対1と投手戦を制した。対峙した相手エース・才木浩人はこの対戦まで今季巨人戦に3試合登板して防御率0.98。完璧に抑え込まれていた。チャンスは多くない。2点先制した初回にチャンスメークしたのが、先頭打者の丸佳浩だった。3球目のスライダーを中前にはじき返して出塁。岡本和真の左前適時打で二塁から先制の本塁を踏んだ。

 完全復活したと言って良いだろう。月間打率を見ると5月が.314、6月が.352、7月が.356。一番に固定されてチャンスメークするだけでなく、試合の流れを変える一発も放つ。6月28日の広島戦(東京ドーム)。同点で迎えた延長10回に防御率0点台の相手守護神・栗林良吏の外角低めカットボールを振り抜き、右翼席にサヨナラ弾で勝負を決めた。

 7月7日のヤクルト戦(神宮)では2回にバックスクリーン左へ7号2ランを放つなど4安打2打点の大暴れ。史上63人目の3000塁打を達成した。お立ち台では「節目節目っていうのは普段からサポートしてくれる皆さんのおかげだと思っています。そういう人たちにあらためて感謝しながら、また明後日からゲームに出たいと思います」と感謝の言葉を口にしていた。7月12日のDeNA戦(東京ドーム)では、1点差を追いかける8回にバックスクリーン右に運ぶ8号同点ソロ。試合を振り出しに戻し、サヨナラ勝利の流れを作った。

東京ドームで好成績


 7月16日現在、打率.3154、8本塁打、27打点。打率、安打数(94本)、出塁率(.394)と3部門でいずれもリーグトップだ。特に本拠地・東京ドームでの活躍が目立つ。今季は打率.350、4本塁打、11打点。週刊ベースボールの取材で、東京ドームについてこう語っていた。

「魅力はたくさんありますね。プレーヤー目線で言えば、東京ドームは打席の『土の硬さ』がちょうどいいんです。打席やマウンドの部分にだけ粘土質の硬い土が入っていますよね。その土の硬さは球場によって全然違うんです。僕は、ほどよく硬いほうがいいんですけど、東京ドームは硬過ぎない。打席に立ったとき、軸足を安定させるためにスパイクで土を掘るんですが、東京ドームは少し硬いので、さらにグリグリとねじるようにして掘っています。それぐらいの硬さがいいです。あまり軟らかいと、試合終盤には穴が掘れていて、ちょっと自分の目線が低くなったような感覚になってしまうときがあるんですよね」

強打者も“タイトル”獲得ならず


打率.355をマークしながら首位打者を獲得できなかった76年の張本


 広島在籍時に最多安打、最高出塁率のタイトルを獲得した実績があるが、首位打者は一度もない。プロ17年目で獲得すれば自身初の快挙になる。巨人で首位打者を獲得した選手を紐解くと、他球団から移籍した日本人選手は一人もいない。首位打者を7度獲得してNPB歴代最多の通算3000安打をマークした張本勲、史上唯一の三冠王を3度獲得した落合博満、打率3割、30本塁打を6年連続マークした小笠原道大と強打者たちが巨人では首位打者を獲っていない。

 落合が中日から巨人にFA移籍したのは41歳シーズン。全盛期は過ぎていたことを差し引かなければいけないが、36歳シーズンで日本ハムから巨人にトレードで加入した張本は移籍初年度の76年に最多安打をマークしている。同年に打率.355をマークしたが、逆転で首位打者を獲得した谷沢健一(中日)に0.00006(6糸)と僅差で届かなかった。

 丸は広島からFA移籍して5年目の昨季に打率.244、18本塁打、47打点と不本意な成績に終わり、今季は外野のレギュラーを保証されていなかった。背水の陣を迎えたシーズンで再び輝きを取り戻していることは大きな価値がある。投高打低が顕著な中、セ・リーグの規定打席到達で打率3割を超えているのは丸と、打率.3153をマークしているドミンゴ・サンタナ(ヤクルト)のみ。サンタナは左足裏痛で、7月15日に登録抹消された。熾烈なタイトル争いは終盤までもつれる可能性が高い。今年は首位打者とリーグ優勝を達成し、最高のシーズンにしたい。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング