上位候補はどの球団も獲得を狙う逸材たちが顔をそろえる。即戦力か、将来性か。競合覚悟か、あるいは単独狙いか。チームのドラフト戦略が問われる部分でもある。 ※年齢は2021年満年齢 福岡ソフトバンクホークス
【2021ターゲット1】三浦銀二 地元出身の未来のエース 【2021ターゲット2】有薗直輝 長打力が魅力の正三塁手候補 [左]三浦銀二・投手/法大/22歳 [右]有薗直輝・内野手/千葉学芸高/18歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→即戦力&将来性のある先発
[ 捕手 ]→2、3年は補強の必要なし
[内野手]→打撃も優れた高校生
[外野手]→
柳田悠岐の後継者
チームが掲げる「V10」に向けて、今秋も将来性豊かな高校生が軸となってくるだろう。一方で、相次ぐ離脱者により前半戦厳しい状況下にあった投手陣。特にエース・
千賀滉大のケガ(7月6日に一軍復帰)、開幕ローテ組の不調など、先発陣はやりくりに苦労した。その点を踏まえ、即戦力候補も抑えておきたいところ。三浦銀二(法大)は地元・福岡出身とあってかねてより熱視線を送る存在だ。
永井智浩スカウト部長は、ピッチングはもちろん「精神的にも成長している」と高く評価している。ほかにも投手では、同じく即戦力候補として
廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)、高校生では
森木大智(高知高)らの名前が挙がる。
野手では昨秋に「ポスト・
松田宣浩」として
井上朋也(花咲徳栄高→ドラフト1位)を指名したが、再び三塁手で気になる逸材が。長打力に確実性も備える有薗直輝(千葉学芸高)は、新たな正三塁手候補としても、将来のクリーンアップ候補としても魅力的と言える。
千葉ロッテマリーンズ
【2021ターゲット1】山下輝 三振奪える大型左腕 【2021ターゲット2】岩本久重 経験豊富な強打の捕手 [左]山下輝・投手/法大/22歳 [右]岩本久重・捕手/早大/22歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→先発&救援左腕
[ 捕手 ]→
田村龍弘の後継者
[内野手]→次代の遊撃&二塁手
[外野手]→将来の中軸候補
6月に敢行した3日連続の“補強”がチーム事情を物語る。
DeNAから救援右腕の
国吉佑樹、
中日から強肩捕手の
加藤匠馬をトレードで獲得し、新助っ人に先発左腕・
ロメロを招き入れた。今秋のドラフトの補強ポイントも同じになるはず。ブルペンに左腕が控える日がないこともあるだけに、左腕の獲得は必至。救援なら山下輝(法大)、先発なら
佐藤隼輔(筑波大)が候補になるだろう。近年は高校生中心の素材型を指名しているが、
森翔平(三菱重工West)ら社会人左腕に触手を伸ばす可能性もゼロではない。
あとは捕手だ。正捕手・田村龍弘の故障離脱の際に、扇の要を固定できなかったとあって、岩本久重(早大)、
古賀悠斗(中大)ら強肩強打の捕手を指名する可能性も十分にある。近年の指名と同様に将来を見据えて高校生にも目を光らせていくが“即戦力”を求めるならば、シーズン途中に補強に踏み切ったポジションを埋める逸材を指名していくだろう。
埼玉西武ライオンズ
【2021ターゲット1】佐藤隼輔 キレで勝負する151キロ左腕 【2021ターゲット2】高木翔斗 強打が武器の強肩捕手 [左]佐藤隼輔・投手/筑波大/21歳 [右]高木翔斗・捕手/県岐阜商高/18歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→即戦力&将来性のある左腕
[ 捕手 ]→次代を担える有望株
[内野手]→二遊間を守れる即戦力
[外野手]→一発長打を狙える右の大砲
今年は
高橋光成、
松本航、
今井達也と先発右腕が先発としての地位を築いているが、やはり絶対的に足りないのは左腕だ。チームで一番若い左腕である22歳の
浜屋将太は開幕先発ローテーション入りしたが4試合に先発し、防御率7.02と結果を残せず。ドラフト2位左腕・25歳の
佐々木健は7月2日の
オリックス戦(メットライフ)で先発したが初回先頭打者に3球目で頭部に死球を与え、史上最速で危険球降板。7月8日現在、チームで左腕は2勝のみと心許ない状況だ。ゆえに大学生No.1左腕の呼び声が高い佐藤隼輔(筑波大)など即戦力先発サウスポーは是が非でも手に入れたいところだろう。
さらに昨年のドラフトで支配下指名7人中、5人が野手だったが捕手は獲得せず。一軍戦力の
岡田雅利、
森友哉、
柘植世那はそれぞれ33歳、26歳、24歳。柘植より年下は20歳の
牧野翔矢のみだから、高木翔斗(県岐阜商高)ら将来性のある高校生捕手も獲得したいところだ。
東北楽天ゴールデンイーグルス
【2021ターゲット1】小園健太 バランスの良さと安定感 【2021ターゲット2】正木智也 浅村に続く右の大砲 [左]小園健太・投手/市和歌山高/18歳 [右]正木智也・内野手/慶大/22歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→将来性のある先発候補
[ 捕手 ]→シーズン中に補強済み
[内野手]→数年後を見据えた高校生
[外野手]→将来的に主軸となる右の大砲
現在の先発投手陣は豪華な顔ぶれではあるが、年齢層が高いのが気がかりな部分。同時に、若手が伸び悩み、選手層に不安要素があるのが現状だ。数年後を見据えれば、最速152キロの直球に多彩な変化球を操る右腕・小園健太(市和歌山高)が補強ポイントに合致する。即戦力では最速154キロ右腕の廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)も有力候補に挙がる。左腕不足を考えれば、佐藤隼輔(筑波大)、
鈴木勇斗(創価大)にも熱視線を送る必要がありそうだ。
攻撃陣では
浅村栄斗、
鈴木大地など他球団からの補強で戦力が充実。ただし左の好打者が多く、バランスが良いとは言い切れない。そうなると注目されるのが正木智也(慶大)だ。右のスラッガー・浅村の後継者として筆頭候補に挙がりそうだ。左打者では大型遊撃手の
中山誠吾(白鴎大)や
阪口樂(岐阜第一高)も徹底マーク。昨年が投手重視の指名となり、シーズン中には捕手・
炭谷銀仁朗を獲得。内外野手の指名が中心となりそうだ。
北海道日本ハムファイターズ
【2021ターゲット1】阪口樂 大谷翔平に続く「二刀流」 【2021ターゲット2】森木大智 無限の可能性を秘めた右腕 [左]阪口樂・内野手/岐阜第一高/18歳 [右]森木大智・投手/高知高/18歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→先発ローテ候補
[ 捕手 ]→強打の捕手
[内野手]→新球場で躍動するスラッガー
[外野手]→新球場で躍動するスラッガー
過去2年は大学生、社会人選手を多く指名してきた一方で、高校生は育成選手を含めて4人の指名にとどまった。その中で、今秋は将来性豊かなスケールの大きい高校生が上位指名の候補に挙がる。投打二刀流で注目を集める阪口樂(岐阜第一高)はスラッガー候補。札幌ドームよりもコンパクトなサイズとなりそうな2023年開業予定の新球場を見据えても魅力的な存在だ。
また、最速154キロ右腕の森木大智(高知高)、同152キロ右腕の小園健太(市和歌山高)らも有力な上位候補となりそうだ。小園とバッテリーを組む
松川虎生(市和歌山高)も強肩強打の捕手として補強ポイントに合致する候補だ。昨年は北海道出身選手を3人指名したが、今年も北海道には楽しみな素材が多数。148キロ左腕の
木村大成(北海高)や148キロ右腕の
田中楓基(旭川実高)に加え、小学2年から中学まで旭川で過ごした最速150キロ左腕の
松浦慶斗(大阪桐蔭高)にも熱視線を送る。
オリックス・バファローズ
【2021ターゲット1】佐藤隼輔 制球&キレ抜群の左腕 【2021ターゲット2】池田陵真 パンチ力十分小柄な大砲 [左]佐藤隼輔・投手/筑波大/21歳 [右]池田陵真・外野手/大阪桐蔭高/18歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→セットアッパー&クローザー
[ 捕手 ]→2、3年は補強の必要なし
[内野手]→将来の中軸候補
[外野手]→将来の中軸候補
若手の台頭で首位に立つ進撃を続けているだけに、今秋も上位は高校生の指名となることも十分に考えられる。何よりレギュラー不在だった中堅に
福田周平、三塁に
宗佑磨が定着し、補強を急ぐ必要はなくなった。ただ、将来を見据え、外野手は
吉田正尚、
杉本裕太郎の後継者となる中軸候補を獲得したいところ。近年は高校生中心の指名だけに、小柄ながらパンチ力のある池田陵真(大阪桐蔭高)、1年時から名門の四番を張る
前川右京(智弁学園高)らが候補になってくるだろう。
投手も先発ローテは20代が中心と若く、即戦力よりも素材型を指名する可能性大。ただ、抑えはベテランの
平野佳寿、セットアッパーは助っ人右腕の
ヒギンスが担うとあって、後継者は必要不可欠だ。現有戦力に候補者は多数いるものの、上位指名で即戦力の救援投手を指名しても不思議ではない。最速152キロ右腕の
加藤竜馬(亜大)、左腕では佐藤隼輔(筑波大)、山下輝(法大)らを獲得してブルペンの層を厚くする可能性も十分にありそうだ。