
練習は嘘をつかない。ケガに負けない強い体をつくることだ。写真は巨人時代の筆者
質より量の勘違い
1カ月に及ぶ春季キャンプが終了し、ここから練習試合、オープン戦を戦って、いよいよ開幕を迎えることになる。主力選手たちは徐々に調子を上げていくことになるが、若手や一、二軍の当落選上にいる選手にとっては大事な時期。しっかりと結果を出してアピールし、開幕一軍をつかみ取らなければならない。
開幕が近づいていくと自然と緊張感も高まっていくが、この時期に怖いのはケガだ。自主トレやキャンプで鍛えてきて、いよいよこれからというときのケガはツラい。もちろんケガをしたくてする選手などいないし、ケガは野球選手に限らず、スポーツ選手には付き物で宿命と言ってもいいだろう。こっちが避けようと思っても避けられるものではない。突発的なこともある。
だから完全な防止策などないわけだが、それでもケガに強い体をつくり上げることは大切だろう。そのために一番必要なのは練習量。最近の選手は量よりも質を重視し、それは決して間違ってはいないが、少し言葉の受け取り方をはき違えているようにも思う。意味のない練習をダラダラと長時間やっても仕方がないというだけで、質のよい練習量なら短時間でも十分ということではない。時間を掛けて徹底的に体をいじめ抜き、体に技術を染み込ませるというのも必要なことなのだ。
故障しない体づくりという点では食事も大事だ。人間は口から入ったものが栄養となり、体がつくられていく。偏った食事や暴飲暴食では体も弱くなる。400勝投手の
金田正一さん(国鉄ほか)は本当によく食べた。鍋料理が好きだったのは鍋になればたくさん食べられるし、仲間との一体感も出たからのようだが、大きなケガもなくあれほど活躍されたのはよく食べ、よく練習したからにほかならない。今の選手はサプリメントでの栄養補給が欠かせないようだが、一番は食事だ。
あとは自己管理もある。練習は手を抜こうと思えばいくらでも抜ける。自己管理も同じ。遊ぼうと思えばいくらでも遊べるわけだ。女、酒、ギャンブルと誘惑も多いから、そちらに目がいってしまうと当然、体もなまる。本人はしっかりと練習して体を鍛えている気でいるのかもしれないが、・・・
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