MLB144試合登板の右腕。マイナー・リーグを含め10球団以上を渡り歩いた経験と平均球速150キロ超の直球を生かし、新加入ながら前半戦32試合登板、防御率1.44と安定している。“楽しむ”を大前提にしながらも、日本での日々は毎日が勝負の連続だ。 取材・構成=武石来人 写真=幡原裕治、高塩隆、BBM すべてが好結果に
4月9日の初登板から、自慢の直球と伝家の宝刀チェンジアップでチームからの信頼を高めていった。今では、セットアッパーでの起用に加え、突然のピンチでも頼られるリリーフの中心投手に。日本への尽きない興味がマウンドに上がる原動力になっている。 ――前半戦はチームで3番目に多い32試合登板と、チームのリーグ上位キープの支えになりました。好調を支えているのはどのような部分なのでしょう。
ウェンデルケン(以下J・B) 一番の要因は、日本での生活、日本の野球というものを楽しもうと自分が考えていて、それを実践できていることです。日本の文化にも親しんで、日本にいる時間のすべてを楽しもうという気持ちでいられることが、今の成績につながっているんじゃないかな、と思っています。
――自身のYouTubeでは、日本での暮らしぶりを発信しています。ここまでこの国の印象はどうでしょうか。
J・B まだまだ、見たいものもたくさんありますが、すごく楽しめています。また、ファンの方から送ってもらうメッセージもとてもポジティブで、好意的。全部が素晴らしい経験になっています。
――食事に関してはいかがですか。
J・B 日本のご飯は好きですね。中でも焼き肉を食べに行くことが多く、お肉が一番好きで楽しみにしています。種類もいろいろなものを食べていて、この間は初めてレバーにも挑戦しましたよ。春のキャンプではホルモンも食べました。パワーの源になっています。
――パワーと言えば、ウェンデルケン投手の練習で使用しているグラブには「力」という文字が刺しゅうで入っています。なぜこの文字を選んだのでしょうか。
J・B 実はグラブの「力」は単純に書くのが簡単なので最初に覚えた漢字なんですよ(笑)。今は日本語を学んで、ほかにも好きな言葉がたくさんできました。今一番気に入っているのは、「楽しむ」ですね。
――来日を決めた最大の要因はどこにあったのでしょう。
J・B 以前、2度日本に来てプレーをした経験があるのですが(2015年プレミア12アメリカ代表、アスレチックス時代の19年MLB開幕戦対マリナーズ=東京ドーム※
イチローの引退試合)、そのときに日本の雰囲気、ファンの野球に対する愛を感じました。それがずっと心のどこかに残っていたんです。そんな中、昨年はアメリカでDFA(メジャー40人枠から外れること)になってマイナーから上がったり下がったりしていた時期が続いていました。そこからDeNAのオファーがあったときにその気持ちを思い出したんです。野球への愛が感じられる場所で野球をすることは、自分にとっても家族にとっても、絶対いいことだろうなと感じました。それが日本で野球をしようと思った一番の決め手でしたね。
――投球の中で軸となるのは、やはり平均球速150キロを超える真っすぐでしょうか。
J・B そうですね。投げていて一番楽しいということもありますし・・・
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