長かった。苦しかった。それでも、自分と向き合い続け、ようやく今季、戦力として一軍に身を置く。力いっぱいに投げ込むボールには、取り組みの成果とたくさんの思いがこもっている。 取材・構成=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭、松岡健三郎 
今季は体と心、バランスの取れたいい状態でマウンドに上がれている
体が整ったことで
2年ぶりの一軍のマウンドで、安定した投球を続けている。その姿に聞こえてくるのは「ついに覚醒か!?」の声。ただ、田中正義自身は「まだまだ」と語り、足りないものを必死に追い求めている。5球団競合、大注目を浴びたドラフト会議から、もうすぐ5年がたとうとしている。 ――9月8日現在、9試合に登板して失点は本塁打による1点のみ。好調の要因を、どう分析していますか。
田中 一番はストレートの球速と、コントロールが少しずつ安定していることかなと思いますね。
――田中投手の球種割合を見るとストレートが7割を超えています。やはり、ストレートが一番自信のある球種で、調子のバロメーターの一つになっている?
田中 そうですね。このストレートがないと、今の自分では打者との勝負が厳しくなってしまうので。
――球速は意識しますか。
田中 やっぱり150キロは超えておかないと、嫌なボールではないと思うんですよね。そこにプラスして球の強度とかも大事ではありますが、まずは球速が出ていないと厳しいかなと思います。
――今季は最速157キロ。平均球速も150キロを超えています。これまでと比べて、どんな変化があったのでしょうか。
田中 体が変わってきたことで球に強さが出てき始めているのは、僕自身も感じています。ボールを強く押せるようになってきている、というのか。体の変化はトレーニングによるところですね。トレーニングする上で強く意識しているのは、筋肉単体ではなく、体全部が連動しているか。体がつながっていないとできないようなトレーニングをずっとやってきているので、そこがようやくボールにも表れてきているような気がします。
――体以外にも、ここまでの4年間と今季で違いを感じる部分はありますか。
田中 ストライクゾーンにボールが行くようになってきているので、コントロールに関する不安みたいなものは以前よりは少なくなってきています。
――先ほどもコントロールの話がありましたが、制球面は田中投手にとって課題の一つだったわけですね。
田中 やっぱり狙ったところに行かないと勝負にならない感じがありましたからね。今も納得いっているかと言われたらそうではないんですけど、不安がない中で投げられるのは大きいです。これまでは「どこか変なところに行っちゃうんじゃないか」と思いながら投げるということがゼロではなかったので。
――コントロールの改善に関しては、どんな取り組みをしてきたのでしょうか。
田中 これも、さっき話した・・・
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