イラスト=イワヰマサタカ
サッカーの野球に対する優位性を語るときに、よく持ち出されるのが「必要な道具はボールだけ」というフレーズだ。そしてこれはボール1個あれば、サッカーはどこでもできるので、世界中に広がったという説につながっていく。しかし私が子どものころはゴムボールが1つあれば野球ができた。まだ、少年野球やリトル・リーグが一般的でなかった時代の話ではあるのだが、柔らかいゴムボールなので捕球は素手。バットは必要だが、ないときは原っぱで拾った棒で代用したり、手の平をバット代わりにした。いわゆる三角ベースボールというヤツで、かつては野球もゴムボール1つあれば、どこでもできるスポーツだったのだ。
ユニフォームを着てフルセットの道具で初めて野球をしたのは、中学で野球部に入ったときだ。捕手の防具を見て、「本物の野球だ」と感激したのを覚えている。スポーツには道具を使う喜びもあると思う。
野球の中でいちばん道具が必要なポジションが捕手である。
しかし19世紀・・・
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