全力でバットを振る。いわゆるフルスイングを持ち味に、1年目から阪神の戦力として活躍している江越大賀。打率は2割に満たないが、それでも和田監督が起用するのには理由がある。将来、右の大砲として大成し、阪神を支える打者になってほしいから。優勝争いが厳しくなる中でも試合に出場を続ける江越は、前だけを見ている。 取材・構成=椎屋博幸 写真=前島進、佐藤真一(インタビュー)、BBM 協力=ホテルグランヴィア広島 「数少ない失投をしっかりバットでとらえて、チームに貢献したい」
上本の骨折(左上前腸骨棘)離脱により、レギュラー中堅の大和を二塁に回したことで、江越にその場が与えられた。しかし、それ以前から、大和の不振などで試合出場を重ねてきた。ときに失敗を繰り返しながらも、ときに見る者を魅了する打撃で、チームの勝利に貢献している。ただなかなか打率が上がらない中、結果と理想の狭間で戦う江越がいる。 「初球から狙っている球を打って『1球集中』という形での積極打法をしていく」と語る江越
シーズン100試合を過ぎましたが、思った以上にきつく感じているのは事実です。やはりアマチュア時代にはここまで毎日試合をやることがなかったですから。想像以上に野球を毎日プレーするという厳しさを感じています。
今では、野球を超えた、やはり職業という感覚になっています。そういうのもあって今は楽しい感じは薄れています(笑)。
もちろん、プロに入ったら、自分の思い描いたようなことが、思うようにいかないだろうということを想定はしていました。ただ、想定以上に結果が出ていないことは苦しいです。僕自身、将来的に目指しているところはやはり「右の大砲」です。小さいころから、そういう打者になりたいと思っていましたし、今も変わりません。今後もそういう打者を目指していきたいと思っています。
そこを目指していることで、プロのカベにぶつかっている苦しさもあります。そのカベは、精神的な部分です。技術的にまだまだの面ももちろんあるんですが、いまは精神面の方が厳しく感じています。
「そう簡単には打てないなあ」というような精神的重圧がジワジワときて、それがたまりにたまっている感覚です。 今はボテボテの内野安打などは出ているんですが、「自分の形でのヒット」というと、出ていませんし、そういうバッティングもできていません。
今はとにかく、どういう形であれ結果が欲しいと思う半面、自分の理想の打撃もしたいというジレンマがあります。立場上、本当に結果を残さないといけないので、その狭間で戦っています。だからこそ「結果が欲しい! 結果が欲しい!」という気持ちが強くなり、多少ですが打席で力みになっているのがよく分かっています。
現在、打席で力みが出ると甘いボールがきて、自分でとらえたと思ってバットを振った打球がファウルになってしまっているんです。それではいけないことは十分に分かってはいるんですが、同じことを繰り返してしまっている自分がいる。つまり、対自分との戦いになって、相手投手へ気持ちが向いていないときがあるんです。少し前であれば、甘いボールはしっかりとらえられていたので、現状で特にそう思いますね・・・
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