藤浪4、東浜3、森2と、3選手をめぐって計9球団が競合した今回のドラフト。 最も成果を上げたのはどの球団だったのだろうか。各球団の指名傾向を、 元巨人チーフスカウトの中村和久氏に分析してもらった。 今ドラフトでは3選手の指名が重複したわけだが、その中でも東浜と藤浪が即戦力としての評価が高かった。これらの選手を獲得できた
ソフトバンクと
阪神は、これだけで100点満点に近い成果を上げたと言ってもいい。その後の指名も年齢、ポジションでバランス良い指名となったようだ。
また、高校生サウスポーの森は
楽天が獲得。来年の台頭を視野に入れつつも、中期的に育てていく方針がチームにあるのだろう。これまでの田中、釜田といった高校生ルーキーの起用法を見る限り、球団はそのノウハウを心得ている。伸びしろ十分の森についてもその育成方法に注目したい。
反対に、抽選を2度も外した
オリックスと
広島にとっては厳しいドラフトとなった。1位で3番手、4番手以降の評価の選手を選ぶこととなり、そのシナリオが大きく狂ってしまったはずだ。オリックスはその後、松葉、佐藤、伏見と大学生中心の指名となった。これらの選手が一軍に食い込んでくるかどうかで、このドラフトの成否が明らかとなるだろう。広島は1位で高橋、2位で鈴木を獲得した。数年前の堂林、今村らがそうだったように、自前の若手選手をしっかり育てていくという方針にブレはないようだ。
巨人、
中日は菅野、福谷をそれぞれ一本釣り。監督の甥、地元選手という、それぞれが待望した選手をすんなりと獲得し、満足のいく結果となった。巨人は菅野を獲得できた時点で大成功。補強ポイントである内野手も3人獲得した。そして中日も2位で同じく地元・愛工大名電高のサウスポー・濱田、打でも古本、杉山という左右の大学生スラッガーを獲得し、バランスの良い指名となったと言えそうだ。
抽選を外した
ロッテ、
ヤクルト、
西武は社会人投手の指名となった。松永、石山、増田はネームバリューこそ藤浪らトップ投手に劣るものの、いずれも実力派であることは間違いない。やはり、各球団は即戦力投手を欲していたということだ。
昨年は高校生中心の指名だった
DeNAは、大型内野手の白崎を筆頭に、大学・社会人選手で固めた。これで年齢のバランスを取ったと言えるが、来季以降、現場に効果が浸透するどうかは未知数の部分だ。
最後に
日本ハムである。昨年は菅野、今年はメジャー挑戦を表明していた大谷を“強行指名”。その年に最も評価した選手を指名するという方針を貫いた形となったが、2年連続で1位選手を入団させることができない危険性もはらんでいる。日米を巻き込んだこの“騒動”の着地点を見いだせるか。しかしその一方で、5位以下で社会人投手を3人続けて指名するなど、独自のスカウティング力を示す結果となった。
PROFILE なかむら・かずひさ●1947年10月6日生まれ。三重県出身。
高田高から名古屋商科大へ進み、70年にリッカーへ入社して都市対抗2度出場。
74年限りで引退後はマネジャー、コーチ、部長代理を経て82年に監督就任。
元阪神・中西らを育て、84年にチームが活動停止。
85年に巨人スカウトへ転じ、87年から9年間は近畿・中国地区を担当、06年から4年間は球団代表直属チーフスカウトに。
岡島、元木、
橋本清、高橋尚、阿部、野間口、亀井、山口、金刃、長野らの入団に尽力した。
09年12月限りで巨人を退団し、ベースボールアナリストとして取材活動中。