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インサイド・リポート

大谷翔平“二刀流”への挑戦

 

黄金ルーキーは歴史を塗り替えられるのか!?


高校史上最速160キロ右腕にして通算56本塁打のスラッガー。すべてが規格外の黄金ルーキー・大谷翔平。球界ではほとんど例のない“二刀流”に挑戦する18歳の若き才能は果たしてどんな成長曲線を描いていくのか。第2特集でお届けする「高卒新人」育成最前線は、この男の育成メソッドの全貌を探るところから始めてみたい。
写真=高原由佳、高塩 隆


 

Chapter 1 両立へのプランニング


投手と野手の境界線をなくしたプログラムづくり

 両立への大きなキーワードになりそうなのが「高校野球」である。通常プロ入りする高校出の新人は投手と打者に明確に進む方向が分かれていく。その最初の分岐点をなくすことを二刀流への足掛かりとする。つまり高校時代に投手だった選手は熱の入れ方の差異はあれ、打撃練習にも取り組むのが主流。投手だからといってアマの大学や社会人選手たちはプロほど打撃をおろそかにしているケースは少ない。特に大谷は高校時代に投手のほかは主に外野手を兼務していた。その時点ですでに「二刀流」だったわけである。

 プロ入りすると完全分業制となり、その流れが分断されてしまうが、大谷は少年野球時代から高校まで二刀流だった流れを生かし、プロでの挑戦に挑んでいく。この導入をスムーズに行うことこそがまずは重要になる。

 昨季までダルビッシュとともに渡米し、レンジャーズでトレーナーを務めた中垣征一郎氏が今季からトレーニングコーチとして日本ハムに復帰。大谷育成の陣頭指揮を執るキーマンも「プロでは投手と野手で育成プログラムが明確に分かれてしまう。そこで重要になるのが、大谷に対応するためのトレーニングを含めたメニューの構築になる」と語る。

 投手ならブルペン投球、野手であればフリー打撃に守備と消化すべきメニューの違いは絶対的なものである。それ以外のメニューの創意工夫が、大谷には必要となってくる。例えば正しい体の使い方、動かし方を修練して学ぶメニューで、投手と野手の境界線をなくしていく作業が必要になるという。中垣氏はこれまでの野球界の既成概念、思考の転換を説く。「量を消化することばかりが練習ではない。投手として打者として必要な効率的な動き、本質的な部分を押さえることができれば、物理的な負担を減らすことが可能になります。投手と野手だから練習量は2倍になるとはまったく思っていない」



▲鎌ケ谷での新人合同自主トレで精力的にメニューをこなす大谷。トレーナー陣からもポテンシャルの高さを評価する声が多く挙がった


 高校野球までに培ってきた流れを生かし、プロではアレンジして投手と打者の垣根をなくし、洗練したプログラムをつくる。過去にほとんど経験がない試みだけに状況に応じてさまざまなアレンジを加えていくことになるだろうが、輪郭は固まっている。ここまでレクチャーを受けている大谷も「本当に二刀流ができるのかなと思うこともありましたけど、少しずつ道は開けてきました」と信じ、向き合う覚悟はできている。

Chapter 2 160キロ右腕の可能性


故障のリスクマネジメントをどう軽減していけるか

 打者としての面と比較して完成度がやや低いとされているが、大谷にしかない強烈な魅力を秘めている。高校時代に史上最速となる160キロをマークしたように、唯一無二のスピードボールを投げられるという資質だ。

 大谷もドラフト前から「まだまだ課題は多いですが、投手としてやってみたい気持ちはあります」と未完の部分を自覚し、最優先して才能を開花させたい一面もある。投手としては技術的な改善とともに、細心の注意を払って向き合っていかなければいけないのは、故障のリスクマネジメントである。

 二刀流によって肉体面に負担がかかるのは明白。野手に取り組めば、ほかの投手たちとは違い守備練習でのスローイングが必須。投手はただでさえ肩、ヒジに負荷がかかり、故障しやすいポジションなのは言うまでもない。

 しかも最初は長い距離を投げなければいけない遊撃手として育成していくことを栗山英樹監督も示唆。その点をどううまくバランスを取りながら軽減し、パフォーマンスの向上につながる練習を行っていけるかが大成への1つのカギになる。

 また、日本ハムの特徴として他球団ほど投手指導の際に過度な投げ込みを課すことを重要視しない球団方針がある。その点も大谷にはプラスに働き、順調にステップを踏んでいくことが成功への近道となるか。いずれにしてもケガをしない体づくりが求められる。

▲新人合同自主トレ中にはブルペンでの投球も披露。5割ほどの力だったが、ノビのあるボールを投げ込んでみせた

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