文=高橋昌江、写真=平山耕一 大きな可能性を秘め、千葉での挑戦が始まる
会見場に用意されたテレビ画面をジーッと見つめ、
平沢大河は運命の瞬間を待った。10月上旬、地元・
楽天が1位指名を明言したが、ドラフト間近になって
ロッテの1位指名も浮上。ドラフト本番では実際に競合となり、平沢の運命はくじ引きで決まることになった。
「どっちになるのかな」
17歳はただ、見つめるしかない。
楽天・立花陽三球団社長、ロッテ・
伊東勤監督の順番で「交渉権確定」が刻まれた紙が入っている抽選箱に手を入れる。クジを確認した立花社長はヒザに手をつき、ガックリ。その横で、伊東監督が右手を掲げた。その瞬間、無数のフラッシュを浴びた平沢。ペロッと舌を出したくらいで、表情を崩すことはなかった。ロッテからの指名を「2割くらい」で考えていたため、競合に驚きながらも、「ロッテということになり、プロの世界でやれるということでレベルアップして次の世界に入りたい」と決意表明した。

1位指名を公言していた地元の楽天は、立花陽三球団社長がクジを外してガックリ(左)。ロッテ・伊東勤監督が「交渉権確定」が印字されたクジを手にした[写真=小山真司]
ロッテは正二塁手のクルーズの退団が濃厚で、伊東監督が「二遊間を守れる選手が必要」と望んでの指名だった。今夏の宮城大会。平沢は8打点を挙げながらも打率は.176と低かった。「甲子園ではヒットを1本でも打てれば」と弱気だったが、スイング軌道を修正したことで、左打者ながら左投手から3本塁打を放つなどし、チームの準優勝に貢献。U-18ワールドカップでもショートを守り、クリーンアップを務めた。高校生内野手が競合したのは、2011年ドラフトの
高橋周平(東海大甲府高-
中日)以来。仙台育英・佐々木順一朗監督は「こんなに投手がいる中で、高校生の野手を2球団も1位指名してくれたことに感謝したい」と話した。
フルスイングが信条だ。父・政幸さんからは、バットを持ち始めた2、3歳のころから「腰の回転を速くするとスイングが速くなる」と、下半身主導のスイングを教わってきた。時間があればバットを振る、そんな子どもだった大河少年。佐々木監督は入学式翌日に初めて平沢のスイングを見て・・・
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