文=佐伯要、写真=福地和男 厳しい自己評価
ピンチの場面でも見せたことがないほどこわばった表情で待っていた
今永昇太は、横浜
DeNAから1位で指名されると、目立たないように「フーッ」と息を吐き出した。
「率直に、ホッとしました。胸のモヤモヤが晴れたかなと思います」

東都大学リーグ通算18勝。しかし、今春は左肩痛で登板なく、復帰した秋も未勝利に終わった。しかし、実力の高さは折り紙つきで、左腕不足のチームにあって即戦力の期待がかかる
モヤモヤの正体は、1位候補という周囲の評価と自己評価の差だった。
最速148キロの直球とスライダー、チェンジアップで三振が奪える投手。福岡県立北筑高時代から144キロ左腕としてプロ注目の存在だったが、プロ志望届は提出せず。
「地元でおさまりたくない。大学野球の中心である東都でやりたい」と駒大へ進んだ。
1年春の日大2回戦でリーグ戦デビュー。リリーフとして4つのアウトをすべて直球での空振り三振で奪うと、「大学日本一になるためにここに来た。必ず日本一になって、駒大は強いということを思い知らせたい」と力強く宣言した。
そして、3年秋。計100イニングで102個の三振を奪う投球で、それを実現させる。リーグ戦で7勝して26季ぶりの優勝に貢献。明治神宮大会でも全3試合に登板してチームを13年ぶりの日本一に導いた。
3年秋までにリーグ戦通算18勝。この時点で、スカウトたちは「間違いなく1位」と評価していた。
ところが、今年3月下旬に左肩を痛め、4年春のシーズンは1試合も登板できなかった。「ケガをする前よりも進化した自分を見せよう」と意気込んだ4年秋。開幕の日大1回戦(9月11日)で救援として神宮のマウンドに復帰すると、自己最速にあと1キロと迫る147キロを計測した。今季の今永の状態について、正捕手の高橋亮介(3年・埼玉栄)はこう言っている・・・
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