週刊ベースボールONLINE

激動の平成移籍史

年代別移籍事件史【1995-2002】開かれた世界への扉と長嶋巨人の大型補強

 

あえて「事件史」とタイトルに打ったが、実際、誰もが笑顔の移籍は皆無に等しい。選手、球団、あるいはファンにとって、常に大きな衝撃が伴う。ここでは年代別に日本球界の移籍の歴史を振り返っていく。平成は厳密にいえば1989年1月8日からになるが、今回は、89年から新球団でプレーした88年(昭和63年)オフのトレードは、“平成”で括(くく)らせていただく。
※キャプションの年は西暦の移籍1年目

野茂英雄[近鉄─ドジャース95]


異彩放つ野村再生工場


 平成6年(1994年)オフ、日本球界を大きく変える出来事があった。近鉄・野茂英雄が契約更改で大きくもめ、自由契約ではなく任意引退になったのを機にメジャー挑戦を表明。日米間の移籍ルールが皆無に等しかった時代にマイナー契約からチャンスをつかみ、昭和39年(64年)、村上雅則以来の日本人メジャー・リーガーとなった。以後、この年代では、投手で長谷川滋利佐々木主浩大家友和石井一久ら、野手ではイチロー新庄剛志田口壮らが海を渡り、メジャーの舞台で活躍しているが、すべての始まりは野茂だった。

工藤公康[西武─ダイエー95]


 同オフ、2年目となったFA権を行使したのは6人。中でも衝撃は、西武黄金時代の投打の軸であった工藤公康、石毛宏典のダイエー移籍だ。監督から球団フロントとなった根本陸夫が、新任の王貞治に贈ったプレゼントと言える。日本一となった巨人の補強は前年以上に激しい。FA組では広島から左腕・川口和久ヤクルトから広沢克己、さらに近鉄の左腕・阿波野秀幸、ヤクルトを退団したジャック・ハウエルらを獲得。30億円補強とも言われたが、7年(95年)は3位だった。

広沢克己[ヤクルト─巨人95]


 セの覇者に加え、日本一となったヤクルトは、“再生工場”の社長・野村克也監督の下、西村龍次とのトレードで近鉄から加入した吉井理人が10勝。外国人選手では自由契約となった阪神トーマス・オマリーロッテのミューレン(ヘンスリー・ミューレンス)を獲得し、オマリーはMVPに輝いている。ただ、オマリーは「長打力不足」と阪神を自由契約になったが、阪神時代は首位打者を含め4年連続打率3割超。むしろ阪神の“見る目のなさ”が明らかになった。

武田一浩[ダイエー─中日99]


辻発彦[西武─ヤクルト96]


 7年(95年)オフは、トレードが活発だった。日本ハム・武田一浩、松田慎司とダイエー・下柳剛、捕手・安田秀之のトレードは成功例と言える。武田は8年(97年)15勝で最多勝、下柳も日本ハムで一流投手に成長した。ダイエーはさらにヤクルトとの間で田畑一也佐藤真一柳田聖人河野亮のトレードを行ったが、田畑が再生工場でエース格となるなど、ヤクルト側の収穫が大きかった。また年俸高騰で戦力外通告を受けるベテランも続出。西武の辻発彦がヤクルト、ダイエーの山本和範が近鉄、日本ハムの田村藤夫がロッテにそれぞれ格安で移籍したが、新天地ではさすがの存在感を発揮している。

清原和博[西武─巨人97。右は桑田真澄]


 8年(96年)オフの最大目玉は、パの四番、西武の清原和博だった。阪神との大争奪戦になったが、少年時代からのあこがれであり、かつドラフトでの因縁もある巨人を選んだ。これにより一塁で競合し、出番の激減が予想された落合博満は自ら自由契約の道を選び、日本ハムに移籍した。巨人の獲得欲は清原だけでは止まらず、契約でもめていた近鉄のスラッガー、石井浩郎、ロッテの左腕エリック・ヒルマンらを獲得したが、空回りし9年(97年)はV逸。特に左肩痛でまったく働けなかったヒルマンは痛かった。広島の小早川毅彦はコーチ就任要請も現役にこだわり、自由契約。ヤクルトに移籍し、開幕戦で3打席連続弾を放った。

小早川毅彦[広島─ヤクルト97]


 9年(97年)に広い新本拠地ナゴヤドームに対応できず最下位となった中日は大豊泰昭矢野輝弘を放出し、阪神から関川浩一久慈照嘉を獲得。11年(99年)の優勝につなげた。日本ハムのエース、西崎幸広は西武に移籍し、ストッパーとして再生。近鉄時代、西崎ともにトレンディーエースと呼ばれた阿波野は巨人から横浜に移り10年(98年)の日本一に中継ぎとして貢献した。

大豊泰昭[中日─阪神98]


矢野輝弘[中日─阪神98]


 11年オフは、欲しがり病とも批判されてきた巨人・長嶋茂雄監督が“最後の大補強”を行った。FAのダイエー・工藤公康、広島・江藤智、さらに阪神を自由契約となったダレル・メイも獲得し、12年(00年)の優勝、日本一につなげている。ほぼFA宣言をするつもりながら、いきなり自由契約を告げられたロッテ・小宮山悟は横浜へ移籍している。

工藤公康[ダイエー─巨人00]


江藤智[広島─巨人00]


 13年(01年)の近鉄優勝には移籍組は大貢献した。V決定も阪神から移籍1年目、北川博敏の代打満塁サヨナラ弾だった。

片岡篤史[日本ハム─阪神02]

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング